19.08.06
中止に追い込まれた『表現の不自由展』
今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!
今日お話を伺ったのは、ジャーナリストでBuzzFeed Japan シニアフェローの古田大輔さんです。今日の話題はこちら!
中止に追い込まれた『表現の不自由展』について
鈴村:「表現の不自由展」はどんなイベントだったんでしょうか?
古田さん:こちらは、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展『表現の不自由展・その後』として、8月1日から開催されていました。もともとのオリジナルは、2015年に東京で開催された「表現の不自由展」というもので、様々な理由で展示が出来なかったり、展示が中止された作品を集めた展覧会でした。今回の企画展は、それに2015年以降の事例も集めて行ったものです。
鈴村:どんな作品が展示されていたんですか?
古田さん:特に話題になったのは「平和の少女像」という、いわゆる慰安婦問題に絡んだ展示と、昭和天皇をモチーフにして、それを燃やすような映像作品。それらがすごく話題となって、それに対して名古屋市の河村市長が視察を行い、撤去を求めるなどの騒動となりました。さらに、展示3日目には「ガソリンを持っていく」といった脅迫文が届き、結局展覧会は中止となりました。
鈴村:これはそもそも、どんな趣旨の企画展だったんでしょうか?
古田さん:こういう展示を行うと、必ず批判の声が集まることは想像できます。どんな批判があったのかというと、代表的なものは「日韓関係に絡んだセンシティブな問題に関して、その展示を日本で行うことの是非」「天皇の肖像を焼く、という表現がそもそも許されるのか」といった批判をする人たちがいました。その次に言われるのは「これに公金を払って良いのか?」という議論、そして「これは表現の自由。国としてもそれを守っていかなければならないし、お金を出しているからと展示の是非を権力側が決めるのは“検閲”なのではないか」という意見もあります。今回、芸術監督を務められた津田大介さんの狙いは「そういう議論をして欲しい」ということだったそうです。ただ、その狙いは結局、「ガソリンを持っていく」という強迫によって中止されてしまった…というのが一連の流れです。
そして、今日の #スズコメ はこちら。
#スズコメ ? #ワンモ
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 6, 2019
表現していいという事は全てを肯定する否定するという事ではなく、そこにあるものだと当たり前に受け入れられるようになっていけば表現はもっと広がっていくのでは。
極端な議論で何かを潰すのは表現の自由ではないのではと感じる今日この頃です。