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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

19.06.18

香港デモをきっかけに考える、世界と日本のデモ

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!

今日、お話を伺うのは、『BuzzFeed Japan』シニアフェローの古田大輔さんです。
古田さんが注目したネットの話題はこちら!


「香港デモをきっかけに考える、世界と日本のデモ」

鈴村:香港で行われているデモは、逃亡犯条例というのに対する反対デモなんですけど、この改正の撤回が行われるんじゃないかというような動きになってきているんですか?どうなんでしょうか?


古田さん:現状では、とりあえず決議を延期しますと発表していたんですけれども、香港のメディアが、これはもう自然消滅になりそうだと香港政府の関係者のコメントを紹介しはじめたので、これは、事実上、無理という話しになりそうですね。


鈴村:つまり、デモとしては成功したということですか?


古田さん:そうですね。ここまでの力を持つとは想像してた人は、多分、ほとんどいなかったんじゃないかなと思います。


鈴村:すごかったですよね。ということで今回は、「香港デモをきっかけに考える、世界と日本のデモ」としまして、近年、若い人でデモに参加する人が増えてきたイメージがありますが、まだハードルが高いんじゃないかと、リスナーのみなさんに意見を募集していましたけど、恥ずかしいとか、私には政治主張とかはないですとか、暴動が起きてるっぽく見えて怖いとか、そういう方たちがすごく多かったというのが今の現状なんですけど、古田さんはデモをどのように捉えていますか?


古田さん:日本では、デモに積極的ではない人が圧倒的に多いと思うんですよ。僕が住んでいたタイとか、東南アジアでもデモってすごいんですよ、何万人、何十万人と人が集まって、若い人も男性も女性も年齢も関係なくみんなすごい参加するんですよね。なんで日本では少ないのかなって思うんですけど、3つくらい理由があると思うんですよ。まず、“自分の意見を言うことがそもそもためらう”。デモに参加するどころじゃなく、政治的な事に関して自分がコメントすること自体ためらう。実際、そういうデータがあるんですよね。ネット上で政治的なコメントすることに対する積極的かどうかというのが、日本はすごい低いんですよ。これが1つ目で、2つ目にあるのが、“危機感が違う”。例えば、今回の香港もそうだし、台湾もすごいし、韓国もすごいんですよね、じゃあこの3つの国に共通することって何?っていうと、台湾は戒厳令がつい数十年前まであって、それでかなり抑圧された社会でした。韓国も軍事政権だったわけですよね。香港はやっぱり中国の影響がある。その中で自分たちが民主主義を守られければいけないんだ!という切迫感、危機感がある。あと3つ目は、日本でいうと、日本は60年代に学生運動が盛んだったわけですよね。やっぱあの大きな失敗があったのがやっぱり影響しているのではないかと思います。


鈴村:確かにその3つ、本当にそうだと思います。まず、何かに対して意見を言うこと自体も苦手じゃないですか?政治がどうこうじゃなくって。そういう文化が間違いなくありますし、あと、政治について話すと、なんかこう…いろんな見方がある…。意識高い系って言われてみたりするっていうのも…アホらしい話もあったりしますし、逆に政治的なことを言うと偏った意見に見えられがちというか、そういうふうに思っているんだ君は、へぇ〜。って言われちゃったりすると、議論にならないというか、勝手に思っているんでしょ、それは。ってちゃいますもんね。


古田さん:これって本当に珍しいんですよね。教育の影響ってすごい大きいと思います。小学生の頃から自分の意見を言わないとダメだと教えられる社会と、とにかく先生の話を聞きなさいとか、先輩の言うこと聞いておけ!という社会の違いはすごくあると思います。


鈴村:間違いなくありますよね。


古田さん:民主主義というのは、選挙に行くことだけが民主主義じゃないんですよね。元々の歴史で振り返るとギリシア時代からあるんですけど、政治の正当性、誰が政治の正当性を付与するのかというは、昔は神様だったわけですよね、それが違うんだと17世紀にトマス・ホッブスが言ったんですよ、それは民衆、みんなが支持するからある人が権力を握って政治をすることが出来るんだと。社会契約説を唱え始めたんですよね。そこから、さらに哲学が進化していって、ジョン・ロックが、間違ったことを政府がしたら、革命を起こしても良いんだと言うんですよね。デモも一種の革命だと思うんですよ、政府が間違っていると思ったのであればその意見を表明して、それを変えていくっていう。


鈴村:必要ですよね。消費税増税だ!とか、年金が〜!!とか、みんな言っていますけど、じゃあ、自分が何をすればいいか?といって、行動に移す人というのは、ほとんどいないというのが日本で…。もちろん、選挙には、それは…っていうことはやるんですけど、本当に危機感があって動いているかというと、実は動いていないんじゃないかっていうふうには見えますよね、政治に対しての関与という部分では。


古田さん:ある意味、ある程度、日本が安定しているし、ある程度、幸せな社会というのがあると思うんですけど、でも、これは違うと思った時に声を出す。その声を出す人をバカにせずにちゃんと聞くという社会になっていったら良いなと思います。


鈴村:そうですよね、香港デモだとSNSの力があったりするんで、日本もこういうことが今度影響を与えてくるのかななんて事は思いますね。


そして、今日の #スズコメ はこちら。







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