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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

19.04.30

日本の近代と天皇制について

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!


今日、お話を伺うのは『BuzzFeed Japan』創刊編集長の古田大輔さんです。
古田さんが注目したネットの話題はこちら!


「日本の近代と天皇制」


鈴村:今日は平成最後の日ということで、「日本の近代と天皇制」について、古田さんに語っていただきます。
最近、このテーマについて古田さんは取材されたそうですね?


古田さん:まだ記事にはしていないんですが、「ミカドの肖像」などを書いた作家の猪瀬直樹さんにインタビューして、その内容を記事にしようと思っています。それで、猪瀬さんというと、おそらく都知事のイメージが強いんじゃないのかなと思うんですけど、僕の世代から上の人からみたら、作家というイメージの方が圧倒的に強く、日本の近代と天皇制についてずっと考えてこられた作家なんですよ。
そこで今回、注目するネットニュースというか、実は、僕が、注目するネットニュースにしたいと思っていて、というのは、昭和から平成に変わる時に、天皇制とは何か?日本の近代とは何か?という議論が新聞でもテレビでもなされてたと思うんです。でも、今、平成から令和に変わる時に、そういう話がほとんど聞こえないなと思っていて、やっぱり、日本の近代を考える上で、特に明治以降、天皇制が果たしている役割をきちんと考えていきたいなと思っています。


鈴村:なるほど。学校で僕たちは、天皇陛下、天皇は“象徴”だというふうに憲法で規定されていると教えてもらってたんですけど、実際のところはどうなんですか?


古田さん:今の日本国憲法、戦後に定められた日本国憲法においては、天皇陛下は日本の統合の象徴であるというふうに定められています。一方で、そもそも天皇制というのが、日本できちんと位置付けられたのが明治時代になるわけで、その明治憲法下、大日本帝国憲法下においては、天皇というのは、“万世一系で神聖にして侵すべからず”として、つまり、神様だったわけです。ここが大きく変わったところですね。日本の近代というものは、明治時代に始まっているわけですけども、それは欧米諸国のアジアへの進出に対して、日本が独立を保っていくためにどうしたらいいのか、日本が一国として生きていくにはどうしたらいいのかという中で、近代化が進められました。これは猪瀬さんもよくおっしゃるんですけど、近代以前の日本というのはどういう国だったのかというとですね、他の国もそうなんですけど、自分が日本人という感覚がないんですよ。自分は薩摩の人間であるとか、長州の人間であるとか、自分の目の届く範囲のものが自分にとっての国だったんですよね。それが初めて、自分が日本人なんだっていうのかな、そういう概念を持つようになり、それが近代化なんですね。こういった概念というのは、もともとはヨーロッパで生まれました、ヨーロッパで近代国家概念というのが生まれて、国境線の中にいる自分というものを意識するようになったんですね。


鈴村:国というものをみんなで共有されたということですよね?


古田さん:そうですね。そういうふうに共有されないと外国と相対することが出来ないんですよ。独立を保つには、やっぱり近代化というものが必要でした。その時に必要だったのが、まさに統合のシンボルだったわけですよね。日本の場合は、天皇家が代々ありました、ただし、当時の天皇家というのは、京都の中であって、権威としては持っているけど、大きな力は持っていない、むしろ、ずっと江戸幕府が力を持っていたわけですよね。それを国家としてまとめあげるために、ここでもう一度位置付けをされようとしていたのが、天皇家、天皇制だったというわけです。ただし、明治、大正、昭和と駆け抜けてくる中で戦争という大きな出来事があり、どう位置付け直すかということで象徴という言葉が生まれてきたわけです。


鈴村:なるほど、そういう側面があるんですね。明日から令和になるわけですが、この天皇制についてそれほど取り扱われていない状況ですけども、この天皇制というのはどうなっていくんですか?


古田さん:それはまだわかっていないんです。まさにそれを議論していかないといけないのではないかと思うんですよね。というのは、この骨太の議論がなされないのは、そういう議論をするのも、失礼なんじゃないかと、いわゆる不敬なのではないかという空気があると思うんですよ。でも、その議論をしないと、なぜ必要なのか、日本人にとって天皇家・天皇制とは何なのかというものを考えたり、議論することによって存在していく部分もあると思うんですよね。それをそもそも議論もしないというと、じゃあなんだっけ?という話になってしまうのではないかと思います。


鈴村:今回の事をきっかけに議論するとか、みんながちゃんと話し合える環境になっていけば良いなというのが令和の目標になってくるのかと思いますね。





そして、今日の #スズコメ はこちら。





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