「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2015年本屋大賞」ベスト3(2015/4/9)
木曜日は、「カルチャー」。
今日は、4月7日に発表されたばかり
今年で12回目となる「2015年本屋大賞」
のランキングベスト3をご紹介します。
第3位【 ハケンアニメ!/辻村深月(マガジンハウス) 】
伝説の天才アニメ監督が9年ぶりに挑む新作は、女性プロデューサーが渾身の願いを込めて口説いた作品。同じクールには、期待の新人監督と人気プロデューサーが組むアニメもオンエアされる。
ネットで話題のアニメーター、舞台探訪で観光の活性化を期待する公務員…誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び、新たな事件を起こすのだった。
第2位【 サラバ!/西加奈子(小学館) 】
1977年5月、圷歩は父の赴任先・イランで生まれた。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。後の人生に大きな影響を与える「ある出来事」が待ち受けているとも知らずに…。
「さくら」「あおい」「きいろいゾウ」のベストセラー作家が、作家生活10周年を記念して放つ記念碑的長編で、直木賞受賞作です。
第1位【 鹿の王/上橋菜穂子(KADOKAWA) 】
「2015年本屋大賞」で見事大賞を受賞したのは、上橋菜穂子さんの「鹿の王」。今日はKADOKAWAの編集担当・服部圭子さんに、作家・上橋菜穂子さんと「鹿の王」について紹介していただきました。
作家の上橋菜穂子さんは、1989年に「精霊の木」で作家デビュー。その後「精霊の守り人」をはじめとする「守り人」シリーズ、「獣の奏者」シリーズなどアニメ化もされている作品を次々と書かれていらっしゃる方です。他にも児童文芸賞、文学賞など数多く受賞しているほか、海外での評価も高く、2014年には今までに発表した全ての作品を大賞として「児童文学のノーベル賞」とも言われている「国際アンデルセン賞」の作家賞も受賞していらっしゃいます。
作風としては、異世界を舞台としたファンタジーと呼ばれる作品が多いのですが「件と魔法の世界」のいわゆる「ファンタジー」というより、時代小説のように、そこに生きている人たちが私たちと同じように悩んだり、苦しんだり、喜んだり、人を愛したりという「人間のドラマ」として、皆さんが共感できる物語を書かれていると思います。
上橋さんの作品の魅力は、躍動する世界や人物にグイグイと引き込まれていくこと、そして、その作品の中で自分も登場人物と一緒に色々なことに立ち向かって生きていく…と感じられることが非常に面白くて、作品全体を通じて「生きている」という生命力に溢れていると、私は上橋さんの作品の中で感じます。
「2015年本屋大賞」を受賞した小説「鹿の王」についても伺いました。
愛する人を守るため、様々な厳しい状況に立ち向かっていく父親と、小さな女の子の物語です。主人公のひとりは、父親である「ヴァン」という、40歳になるかならないかの男性。彼は故郷を守るために戦っていたのですが、戦いに敗れ、奴隷として捕らわれているときに不思議な犬たちに襲われ、周りの人々は皆病気を発症して亡くなっていくのですが、彼と小さな幼子だけが助かるのです。その幼子を拾った「ヴァン」がその世界でどう生きていくか?ということが描かれている物語です。
この物語をひと言で表すならば「生きているって本当に凄くて、本当に素敵なことなんだなぁ」ということがしみじみと伝わる物語だと思います。全てを失った男がまず幼子と共に暮らし、そこからどんどん色んな人と、本当に血がつながっている訳ではないのですが、家族のように暮らしていくお話なので、血はつながっていなくても家族のようなつながりが持てるのだ…と、お父さんやお母さん、お子さんそれぞれの立場から楽しんで頂けたらと思います。
「2015年本屋大賞」受賞作、上橋菜穂子さんの「鹿の王」は単行本で上下巻、KADOKAWAから出版されています。
今日は「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2015年本屋大賞」ベスト3をご紹介しました。