ビジネスマン、OLのネタ帳になるトピックを、毎日お届け!キャッチアップしておきたいトレンドをランキング形式で紹介しながら、毎日ひとつの話題にフォーカスしていきます。

別れと旅立ちのシーズンにオススメの映画はコレ!(2017/3/30)

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木曜日は、「カルチャー」。


まずは、3月25日(土)26日(日)の
全国映画動員ランキングトップ3をご紹介!



第3位『 映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 』(公開4週目)

第2位『 モアナと伝説の海 』(公開3週目)

第1位『 SING/シング 』(公開2週目)


以上、先週末の全国映画動員ランキングトップ3でした。
そして今日は、映画ライター・よしひろまさみちさんが選ぶ【 別れと旅立ちの季節 】にオススメの3作品をご紹介しました。


1本目は日本公開が2012年。エミリオ・エステベスが父親のマーティン・シーンを主演に迎え、自らが監督・息子役として出演も果たした『 星の旅人たち 』。


よしひろ:こちらは“お遍路”みたいな映画です。お父さんと息子が出てくるんですけれど、息子は「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼」という、世界遺産にもなっているキリスト教の巡礼の旅に出ていたんですね。それが、40歳にもなってフラフラしている放蕩息子だと思っていたんですが、その息子が旅先で死んでしまうというニュースから始まります。そのお父さんは、息子の亡骸を取りに行こうとするのですけれど、息子がどういう旅をしていたかというのが気になり始めて、息子の旅を自分の足で追体験し始めます。そうすると、都会暮らしだったお父さんは、旅の間に出会った旅人たちとの交流を深めていくうちに、息子が何を求めて旅をしていたか?ということについて触れ、自分の成長も見えてくるという、出会いと別れ、そして息子の死、自分の生と向き合うお話になっています。


そして2本目は、日本公開が2004年。アルゼンチン人でキューバ革命の英雄、チェ・ゲバラの青春時代を描いた『 モーターサイクル・ダイアリーズ 』。


よしひろ:この映画の舞台となるのは南米大陸です。チェ・ゲバラという革命家はご存知だと思いますけれど、彼にはエルネストという本名があって、その時代の話になります。エルネストは学生時代、親友のアルベルトとともに南米にバイクの縦断旅行に出かけるんですが、最初こそ、卒業旅行みたいな浮かれた気分で旅をしているんですが、南米の社会の実情がどんどん見えてくると、社会の貧富の格差であったりとか、先住民の文化に触れることによって、どんどんとエルネストの気持ちが変わっていくのです。最後の方では、ハンセン病の患者が収容されている診療所に行くのですが、そこをきっかけに差別という問題にぶち当たって、エルネストは革命家への道を、アルベルトは科学者への道を目指すことになります。旅の間の様々な出会いと別れによって、人の人生が全て変わってしまった、というきっかけを描いた映画です。


そして3本目は、日本公開が2000年。NASAのエンジニアが書いた自伝を基にした『 遠い空の向こうに 』。


よしひろ:1957年にソ連が初めての人工衛星「スプートニク」を打ち上げたんですが、その頃の話になります。超田舎の炭鉱町で育った少年が、自分の父親が炭鉱夫ということで、もう炭鉱夫になるしか未来がないっていう、そんなときに「宇宙への夢」っていうのがラジオで流れてくる…と。で、その少年はロケットを作ろうと思うんですね。そういう風に思った仲間があと3人いて、高校生4人がロケット作りにどんどん打ち込んでいきます。ただ、街の人たちはそんなに良い顔をせず、特に父親は猛反対。ところが、学校の科学の先生がバックアップをしてくれるのです。そのうちに彼らは、ロケット工学の中でも一番難しいとされている技術を身につけることができ、本当に小さいペンシル型のロケット打ち上げに成功するようになるのです。そうなったとき、果たして父はどう思うのか、と。ちょうど卒業や入学のシーズンにピッタリの大感動作で、これを観た人は必ず泣くという作品になっています。


今日は先週末の全国映画動員ランキングトップ3と、よしひろさんオススメの「旅立ちのときに観るべき映画」をご紹介しました。


日本は155ヶ国中51位!このランキングは??(2017/3/23)

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木曜日は、「カルチャー」。


今日は、3月20日の「世界幸福デー」に国連が発表した
【 2017年 世界幸福度ランキング 】の
トップ5をご紹介します!



第5位『 フィンランド 』(昨年と同位)

第4位『 スイス 』(昨年の2位から2ランクダウン)

第3位『 アイスランド 』(昨年と同位)

第2位『 デンマーク 』(昨年の1位から1ランクダウン)

第1位『 ノルウェー 』(昨年の4位から3ランクアップ)


以上、2017年 世界幸福度ランキングトップ5でした。
毎年国連が発表する「世界幸福度ランキング」は、今年で5回目。今回の調査対象は155ヵ国で、幸福度は「1人当たりのGDP」「社会的な支援」「健康で自立した生活が送れる期間である“健康寿命”」「人生における選択の自由度」「社会の寛容さ」「腐敗認識度」これらを数値化して導き出されています。
その最新版の上位が、先ほどお伝えした北欧を中心とした国々。年によって順位は違っても、顔ぶれは変わりません。そして今回、日本はこのランキングで51位。2016年から2ランクアップしていますが、G7=主要7ヵ国中「幸福度」が最も低いという残念な順位となっています。


昨年、ひとりのドイツ人女性が書いた『世界幸福度ランキング上位13ヵ国を旅してわかったこと』という本が、集英社インターナショナルから刊行されました。幸福度が高いオランダやメキシコで暮らしたことがある彼女は、幸福度ランキング常連の北欧諸国や、主観的幸福度の高い中南米の国を訪れ、幸せについて聞いて回り、各国の「幸福の処方箋」を記したのです。
この本の翻訳者の畔上司さんに、今回の幸福度ランキングを踏まえて「幸福」について伺いました。


北欧はほとんど同じです。人間関係が濃密で、友人や家族を大事にする。それからもうひとつは、生活の時間が多少いい加減なところがありまして、完璧主義ではない。例えばの話ですが、玄関に鍵を掛けず、隣の家の人に「留守にするから」と言って出て行って、という生活が当たり前のようです。それからもうひとつ、税金が高いのはもちろん、物価がものすごく高いです。その代わり、老後の心配が日本に比べるとほとんどありません。若いときを老後の心配をして過ごす、なんてことはあり得ません。65や70になっても、生活を楽しむことを考えて年を取っていくだけの話です。
実は今回のランキングで驚いたんですが、この「幸福感」というのも感染するという話が私が訳した本に載っていまして、デンマークの南の端とドイツの北の端は、国境線を境にして繋がっているわけですが、そこが一番幸福度が強いらしいのです。それが北欧全部、スウェーデンからデンマーク、ノルウェーはもちろんですが、さらに国境を通じてドイツからオーストリアまで。さらにはオランダやベルギー…と、要するに国境を通じて、ずっと幸福度がずいぶんと上がっているな、という。それには驚きました。
いま、日本では「働き方の改革」という言い方をしていますが、北欧ではむしろ、夏休みを1、2ヶ月取るのは当たり前、その他にイースターやクリスマスなどに1、2週間休むのも当たり前という。つまりゴールデンウィークが年に何回もあるような感じでして、ですから「働き方改革」ではなく、本当は「休み方改革」をした方が良いのではないか、というのは、こういう本を訳していると感じます。

このお話を聞いた中西さんは「まぁ、確かに完璧主義じゃない、というのは分かりますね。あと“幸福は伝染する”という考え方は面白いですが、確かに笑顔の人のそばにいると楽しくなったりするじゃないですか。だから、北欧の国の横に日本をくっつけておけば良いんじゃないですか(笑)」とおっしゃっていました。


資本主義社会での豊かさの指標とされる「GDP=国民総生産」ではなく、今では世界に知られるようになった「GNH=国民総幸福量」で国の豊かさを測るブータン。先日、ブータンの王立研究所所長が東京で講演を行ったのですが、最新の調査では「幸福」と分類された国民がなんと91%もいたそうです。
他の国に誇るところがたくさんある日本ですが、学ぶべきところもたくさんありそうですね。


今日は「世界幸福度ランキング」トップ5をご紹介しました。


オリジナルと日本語吹き替え、どちらが観たい??(2017/3/16)

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木曜日は、「カルチャー」。


まずは、3月11日(土)12日(日)の
全国映画動員ランキングトップ3をご紹介!



第3位『 ラ・ラ・ランド 』(公開3週目)

第2位『 映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 』(公開2週目)

第1位『 モアナと伝説の海 』(公開1週目)


以上、先週末の全国映画動員ランキングトップ3でした。
そして、スタジオにはおなじみの映画ライター・よしひろまさみちさんをお迎えしました。今日は、明日3月17日より公開される映画『 シング 』について伺いました。



高橋:明日公開のアニメ映画『 シング 』は、動物たちが歌って踊るアニメーション映画。そのストーリーは…コアラのバスターが経営する劇場が倒産の危機に!経営を立て直すためにバスターが思いついたアイデアが「歌のオーディション」。個性的なメンバーたちが優勝と賞金を目指し、舞台に集まります。


よしひろ:これ、ひと言でいうと「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップな映画」です!残念ながらワム!の曲は使われていないんですけれど(笑)。でも、気分的にはそこですね。


高橋:私もひと足先に見てきましたが、一言で言うと「楽しくて楽しくて仕方がない!」終わった後の爽快感ったらないんです。


よしひろ:みんなが知っている曲しか流れないですもんね。洋楽に詳しくなくても、絶対にどこかで聞いたことがある!という曲しか流れないんです。


高橋:さ、そして今回のテーマは【 これが分かると3倍楽しい!『 シング 』3つのポイント 】です。まずひとつめは!《 ヒット曲のカバーが満載のサントラ 》


よしひろ:本編で流れるヒットソングは60曲以上で、そのうち日本国内盤のサントラには23曲を収録しています。例えば、フレッド・アステアという昔のミュージカル・スターの曲やシナトラ、ポール・マッカートニーやゾンビーズ、最近の曲だとガガやテイラー・スウィフトなんかも入っていて、ヒット曲ばっかりなんです。そして、日本からもきゃりーぱみゅぱみゅの曲が使われていて、ちょっとビックリしましたね(笑)。


高橋:さ、そしてふたつめのポイントは!《 キャラクターと楽曲のテーマが一致している 》


よしひろ:こちらに登場するキャラクターがそれぞれ、かなり個性的なんですけれど、その個性に合わせたアーティストの曲を当て込んでいるんですね。例えば、ブタのロジータというキャラがいるんですが、そのブタちゃんは、家事や子育てに追われていて自分を見失っているんですね。で、「歌で自分探しを」と思っているときに歌うのが、ケイティ・ペリーの「ファイアーワーク」なんですけれど、あの曲を歌った瞬間に自分をパーッと解放するっていう、もう曲そのままのイメージで、私はそこで泣きました(笑)。


高橋:彼らが抱えている悩みが、私たちの悩みにかぶるんですよね。それを曲でバーン!ってやるところなんて絶対に爽快ですよね。


高橋:さあ、そして3つめのポイントは!《 豪華すぎるボイスキャスト 》


よしひろ:こちらオリジナル版は、声優さんというよりほとんどハリウッドの俳優さんが演じているんですが、ちょっと言うだけでも超豪華!マシュー・マコノヒー、タロン・エガートン、スカーレット・ヨハンソン、リース・ウィザースプーンなどなど。それだけでも充分豪華なんですが、日本語吹き替え版の方も、歌える人を全部当て込んでいるんです。ゴリラのジョニーはスキマスイッチの大橋さんですし、スカーレット・ヨハンソンの声を吹き替えたのは長澤まさみさん。おなじみ山寺宏一さんもでていますけれど、とにかく“歌える人”というのが条件。で、目玉がトリー・ケリーという歌唱力の非常に高いアーティストが演じたゾウのミーナを、MISIAさんが演じられているんです。一番歌唱力が必要なところをMISIAがカバー!というね。


高橋:ゾウのミーナは非常にシャイな女の子なんですが、彼女が歌うシーンはグッときますね。


よしひろ:そうですね。サントラにも収録されているんですが、ジェフ・バックリィの「ハレルヤ」という曲を歌っているんですが、まぁぁぁー朗々と歌いやがって!もうこれがカッコイイの!!


高橋:たまらないんですよー!映画『 シング 』は明日から公開となります。オリジナル版も吹き替え版もどっちも楽しいと思います!!


よしひろさんと万里恵ちゃんも大盛り上がりだった映画『 シング 』ぜひ、劇場の大スクリーンでご覧になってみてください!
今日は先週末の全国映画動員ランキングトップ3と、話題の映画『 シング 』をご紹介しました。


和菓子評論家オススメの「草餅」はコレ!(2017/3/9)

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木曜日は、「カルチャー」。


今日は、和菓子・和スイーツ評論家の中原陽一さんが選ぶ
『2017 春 おすすめ草餅ランキング ベスト3』
を中原さんのコメントとともにご紹介します!



第3位 【 榮太樓總本鋪の「草餅」(税込238円)】

文政元年1818年創業の老舗「榮太樓總本鋪」はきんつばでお馴染みのお店ですが、草餅もイチオシの一品です。その特徴は、慈姑(クワイ)をモチーフにした個性的な形。慈姑は大きな芽が出るということで縁起が良く、めでたいという意味が込められているそうです。国産のよもぎをたっぷり使ったお餅はつややかな深い草色をしていて、一口頬張る度に鮮烈なよもぎの香りがふわっと広がります。中身の粒あんもほどよい甘さで、小豆の風味豊かな味わいがお餅のよもぎの風味を引き立ててくれます。



第2位 【 KITAYA六人衆の「あんなし草餅 わっぱ入り」(税込800円)】

東京・足立区の人気和菓子店「喜田家」その新進気鋭の職人が集まった新ブランド「KITAYA六人衆」こちらの草餅は、よもぎがほんのりで上品に香る柔らかくてもちもちの草餅に、別添えの香ばしいきな粉をまぶし、優しい甘さの黒みつをかけて頂きます。餡なしと謳っているだけありまして、噛むほどによもぎの風味の中にもち米の甘味が感じられます。一般的にコシのあるお餅が多いんですが、柔らかくてもちもちの食感は、この餡なし草餅ならではのものだと思います。お洒落な曲げわっぱに、草餅が5個入っていますので、皆でシェアするのにもピッタリ!楽しい集まりの手土産にすれば、きっと気に入ってもらえるでしょう。



第1位 【 菓匠禄兵衛の「黒さや草もち」(税込432円 】

「菓匠禄兵衛」は、滋賀県長浜に本店を構える2006年創業の和菓子専門店です。餅取り粉がまぶされたお餅は濃い草色で伸びが良く、柔らかさの中にもきめ細かく、コシのある食感は滋賀羽二重もちならではの持ち味といえるでしょう。自家栽培のよもぎを使っているそうで、口に入れた瞬間によもぎ本来の爽やかな風味が感じられます。特質すべきは何といっても粒あん。希少な丹波黒さや大納言小豆を使っているそうで、小豆一粒一粒が大きく、しっかりとした粒の食感が楽しめる仕上がりとなっています。黒さや草もちは、東京駅改札内「エキュート東京店」限定のプレミアム草もち。ぜひ召し上がってみてください。




以上、和菓子・和スイーツ評論家の中原陽一さんが選ぶ『2017 春 おすすめ草餅ランキング ベスト3』でした。中原さんは今回のベスト3を選んだ理由についてこうコメントしていらっしゃいます。


2月から3月にかけての早春に旬を迎える「よもぎ」。そのよもぎ本来の瑞々しい香りや味わいを余すことなく楽しめる和菓子、それが草餅です。旬のよもぎを味わうなら、やっぱり春の足音が聞こえてくるこの季節だと思います。実は草餅の個性って、意外に色々あったりします。今回はそんな草餅のベスト3を選んでみました。


この季節にしか味わえない「草餅」。今回の中原さんのコメントを参考に皆さんも春の訪れを楽しんで下さいね。


谷口ジローさんの世界にふれてみませんか?(2017/3/2)

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木曜日は、「カルチャー」。


まずは、楽天ブックスの最新漫画(コミック)
売り上げウィークリーランキング ベスト3をご紹介!



第3位 『 ハイキュー!! 25巻/古舘春一 』

第2位 『 ONE PIECE 84巻/尾田栄一郎 』

第1位 『 君に届け 28巻/椎名軽穂 』


そして今日は、1月11日に69歳でお亡くなりになった漫画家の谷口ジローさんについてご紹介しました。


谷口さんは1970年代のデビュー後、ハードボイルドもの、散歩もの、動物もの、SF、文芸など幅広い作品を描いた芸術家でした。代表作は「坊っちゃんの時代」「歩く人」「孤独のグルメ」など。ヨーロッパでも評価は高く、多くの賞を受賞しています。フランスのマンガ「バンド・デシネ」に大きな影響を受けていますが、そのフランスでも、芸術や文化の創造・普及に貢献した人に与えられる「フランス政府芸術文化勲章(シュヴァリエ)」を受賞しています。


もちろん、日本にも多くのファンがいます。ただ、大人のマンガ通から受ける高い評価と反対に、若い世代には馴染みが薄い存在かもしれません。
そこで今日は、「孤独のグルメ」や「散歩もの」で原作者として一緒に仕事をした、漫画家でもある久住昌之さんにお話を伺いました。まずは「孤独のグルメ」の仕事を通じて知った“漫画家・谷口ジロー”について。


これは編集者の方から、谷口さんと組んでやって下さい、っていうのが来ました。いや、僕でいいんだろうかって思いましたね。手塚治虫文化賞なども受賞されていますし、ずっと上の先輩ですからね。僕の原作を文章と写真で渡して書いてもらったんですけれど、正直、1回目のときは「これ本当にみんな面白いかな」っていう…。で、谷口先生も、これ僕が書くべきものなんだろうか、みたいな(笑)。それも素で。それで、3回目のときに、谷口さんが美味しいっていう顔が上手く描けたときに「これで出来るかもしれないな」と思ったとおっしゃっていたんです。豆かんですね。浅草の豆かんを食べて。僕も3回目4回目から、意外に面白いかもしれないぞ、と思いましたね。
谷口さんは本当に真面目な方で、ありふれた何かをちょっと食べるだけの話なんだけど、他のマンガと同じような力を使って丁寧に描いてくださって。必ずどこかに前作までにやっていなかったマンガ表現が入っていて、そういうところに頭が下がりましたね。マンガを読んでいる方はサラッと読んでしまいますが、背景とかものすごく細かくて。1コマ1日というのは当たり前の世界なんですね。「なんでこんなに細かく描くんですか」と伺ったら、このマンガには大きなストーリーもないし、言葉も少ない。だけど、その中にちょっとしたことを感じている。だからこの主人公が見たものを見たように読ませてあげなくちゃならないんだ、とおっしゃって、それはもう素晴らしいと思いましたね。言葉にもならないという感じでした。11ヵ国語ぐらいに訳されているんですが、やっぱり手を抜かずに時間をかけて丁寧にやったことは、距離的にも遠くまで届くし、時間的にも20年も経つのに新鮮に読んでもらえる。そういうことを教わりましたね。

そして、久住昌之さんがオススメしたい、ご自身が関わった以外の谷口ジロー作品は?


1つ目は「神々の山嶺(いただき)」という、夢枕貘さん原作のマンガで、これは谷口さんにしか描けない山。人が登ることを拒む山っていう、そういう山という巨大なもの、地球が生きているように描けるのは谷口さんだけだと思うので、これはぜひ読んでみて下さい。
もう1つは「センセイの鞄」という、川上弘美さんの芥川賞受賞作をマンガ化したしたものがありますが、こちらも本当に素晴らしくて、“背景で泣けるマンガ”を描けるのは谷口さんくらいじゃないかと思うくらい素晴らしいんです。背景の美しさに主人公の心情がものすごく表れていて、その星空を見て泣けちゃうという素晴らしいマンガですね。

そして、谷口ジローさんのマンガはそのカラーの絵がまた美しいんです。


谷口さんのカラーっていうのは、ものすごく細かくて繊細なんです。最近、全世界で谷口ジローさんの画集が初めて発売されました。これまでの谷口さんの作品に登場したカラー作品を集めたものなんですが、これが緻密で綺麗で素晴らしいんですね。イラストレーターにこれを頼んだら、たぶん1枚10万とか20万だと思うんですよ。ところが、これはマンガの1ページなので、カラーページだからちょっと高い、っていうだけなんですよね。よくこんなに緻密にやるな、って本当に思いました。採算度外視っていうのは、もう谷口さんのような人のことを言うんですよね。この「散歩もの」の表紙も1枚全部書いたのに、全部やり直してこっちにしたっていう(笑)。何というか…もったいないというか、そういうことに気を遣わないというか。損得というより、良い作品を残したいという誠実な方だったと思いますね。

若い世代の方にはあまり馴染みのない漫画家・谷口ジローさん。この機会にぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょう。