映画『この世界の片隅に』女優・のんさんが演じるうえで意識したこと(2016/10/20)
いま押さえておきたい最新の話題にフォーカス。木曜日のテーマは「カルチャー」です。
まずは先週末の全国映画動員ランキングのベスト5をご紹介します。
第5位【 映画 聲の形 】公開5週目
第4位【 HiGH&LOW THE RED RAIN 】公開2週目
第3位【 ジェイソン・ボーン 】公開2週目
第2位【 何者 】公開1週目
第1位【 君の名は。 】公開8週目
映画『君の名は。』は8週連続の首位を獲得。2016年最大のヒット映画にもなり、興行収入は150億円を超えました。
今回取り上げるのは、11月12日(土)公開の映画『この世界の片隅に』。ランキング1位となった『君の名は。』とはまた違う、素晴らしいアニメーション作品となっています。
今回は主人公「すずさん」を演じた女優・のんさんのインタビューとともにご紹介します。
◆原作者・こうのさんと監督・片渕さんの出会い
アニメーション映画『この世界の片隅に』は、こうの史代さんの漫画をアニメーション化した作品です。
原作漫画は文化庁メディア芸術祭漫画部門で優秀賞を受賞するなど、派手な漫画ではないものの、読んだ人から多く支持されている作品です。
原作を読んだ『この世界の片隅に』の監督・片渕須直さんは「これこそ自分が映像化すべき作品」だと思い、こうの史代さんに手紙を送ったそうです。
また、原作者のこうのさんも片渕監督が手がけたアニメ「名犬ラッシー」を観て「自分もいつかこんな大切な日常を描きたい」と思ったそうです。
そうした出会いから生まれたのが今回の映画『この世界の片隅に』
◆ストーリー
太平洋戦争さなかの昭和19年2月。
おっとり、ちょっとぼーっとしている18歳の娘「すずさん」は、突然の縁談で広島から呉にやってきました。
夫と、優しい夫の両親、厳しい義姉と可愛いその娘、そして近所の人たちと少しずつ関係を築いていきます。
配給物資が減っていくなかで、工夫を凝らして食卓を賑やかにし、衣服をつくりなおし、ときには好きな絵を描き、すずさんの日常は続いていきます。
しかし、日本屈指の軍港である呉にも忍び寄る戦争の影。
そして、昭和20年の夏がやってきます−−
主人公のすずさんは優しくて、やわらかくて、まっすぐな女性。
そのすずさんを演じたのが女優・のんさん。まさに「命を吹き込む」ように、その声はすずさんのキャラクターを魅力的にしています。
◆女優・のんさんコメント
のんさん 「オーディションに来てもらえないか」という風にいわれまして、そのときに原作も読ませていただいて「これはぜひやりたい」と思いまして、そこから決まりました。
台詞に広島弁があったので、まず広島弁をすべて頭に入れてから日常的に使うようにしてました。「うちゃあ、なんとかじゃあ」と言うのとか、「ばれとりましたかー」とか、かわいかったです。
戦争が日常ととなり合わせであって、戦時下でも日常をちゃんと過ごしていくというのが、今まで思っていたものと違って、「どんな時でも日常を送らないといけない」ということを別次元のように思っていました。そこから「すずさん」をどのような人として演じるかを構築して広げていきました。
演じる上では、戦争への怒りをあからさまには出していない、それよりも目の前の日常を大切にしてるというところをすごく意識しました。すずさんのぼーっとしているけど、意外と力強かったり、パワフルだったり、ポジティブなところはすごく可愛いなと思ったのでそこもすごく意識しました。
すずさんとは「ぼーっとしている」とよく言われるところが一緒です(笑)。
普通に生きていく。そういう普通というのがせつなくて、いとおしい作品だと思うので、その幸せを感じていただけたらなと思います。
◆試写を観た高橋さんの感想は?
高橋 昭和20年は終戦の年、広島には原爆も落とされました。映画はその前後の物語なんですが、あまりにも厳しい時代です。それでもたくましく生きている人の姿にぐっときて、見終わったあとのエンドロールで涙が出ます。その涙は、戦争の悲惨さにではなく、あの時代を一生懸命に生きてくれた方達がいて今の自分がいるんだなと思う、感謝の気持ちの涙でした。本当に大切な人を思い出します。
映画『この世界の片隅に』は11月12日(土)から全国公開です。ぜひ大切な人と観に行ってください。