「マンガ大賞2015」ランキング トップ5(2015/4/2)
木曜日は、「カルチャー」。
今日は、先日発表された
「マンガ大賞2015」のランキングをご紹介します。
「マンガ大賞」は今年で8回目となり、選考委員は
書店員をはじめ、マンガをこよなく愛する有志たち。
選考対象は1月1日から12月31日に出版された
単行本のうち最大巻数が8巻までの作品だそうです。
第5位【 BLUE GIANT/石塚真一(小学館) 】
ジャズをテーマにした作品。仙台に住む男子高校生が、ある日耳にしたジャズに興味を持ち、ライブハウスで演奏を目の当たりにして、サックスプレイヤーを目指す物語です。
第4位【 僕だけがいない街/三部けい(KADOKAWA) 】
昨年のマンガ大賞では2位だった作品。売れない青年漫画家が、彼にだけ起こる「時間が巻き戻る」という現象から、過去の連続誘拐殺人事件の解決を目指すというストーリー。
第3位【 聲の形/大今良時(講談社) 】
聴覚障害から嫌がらせを受けるようになった少女と、彼女へのいじめの中心になったことから周囲が離れ、孤独になる少年。このふたりのふれあいと、人間の孤独や絶望、純愛が描かれています。
第2位【 子供はわかってあげない/田島列島(講談社) 】
高校2年生、水泳部の女子と書道部員の男子の甘酸っぱいひと夏の物語。
第1位【 かくかくしかじか/東村アキコ(集英社) 】
「主に泣いています」「海月姫」で知られる人気ギャグ漫画家の東村アキコさんが、その生い立ちから有名漫画家になるまでを描いた、自伝エッセイマンガです。
以上、「マンガ大賞2015」ランキングのトップ5をご紹介しました。
今日はこの中から、新人の部類に入る、まだ馴染みのない作者と作品をご紹介します。2位にランクインした「子供はわかってあげない」と作者の田島列島さんについて、講談社「モーニング」の編集担当・篠原さんにお話を伺いました。
田島列島さんは現在30歳の女性で、大学を卒業して1、2年くらいの頃に「たやのあゆみ」さんという名前で「ごあいさつ」という作品を応募してもらって、その後、田島列島というペンネームになりました。
結構シャイなんですけれど、言うことは鋭くて、純粋で明るく、よく笑う方。ご本人曰く、ダジャレを言いすぎて周りにめんどくさがられていたとか、言葉遊びが好きだそうです。作品もそういう感じで、ポツポツと読み切り作品などを書きながらも、なかなか連載には到らなかったんですけれど、2013年の秋に僕のところに持ってきてくれたラフが「子供はわかってあげない」でした。で、連載が決まりました。
この「子供はわかってあげない」という作品は、モジくんという書道部の男の子とサクタさんという水泳部の女の子が、同じアニメが好きということから知り合い、サクタさんが実のお父さんを捜したいと思っていて、モジくんのお兄さんがたまたま探偵だったことから、夏休みの間にそのお兄さんの力を借りて捜そうということで、ひと夏の甘酸っぱい“ボーイミーツガール”と探偵ものみたいのが混ざった優しいお話です。僕なんかは青春時代を思い起こさせるのと、自分には取り戻すことの出来ない“純粋さ”みたいな部分に触れて切なくなったり、純粋さに共感できる自分にちょっと安心できたりもする素敵なお話です。
いま割と「物事をリアルに」という流れで、物事の残酷な面とか辛い現実とか、そっちの方ばかり見せる作品が多くて、そんな中で物事のポジティブな側面をとらえようと思っている、と田島さん自身も言っているんですけれど、マンガの中に出てくるそれぞれにそれぞれの救いがあるというか、すごく人間や人生を肯定するような作品になっているんですけれど、今はあまりそういう作品がないのではないかと、この作品に触れて気付かされた気がしますね。
田島列島さんの「子供はわかってあげない」は、講談社から上下巻で発売されています。
今日は「マンガ大賞2015」ランキングのトップ5をご紹介しました。