全国映画観客動員ランキング トップ5(2015/2/26)
木曜日は、「カルチャー」。
今日は先週末、2月21日(土)と22日(日)の全国映画動員ランキングトップ5をご紹介!
第5位『 映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン! 』(公開10週目)
第4位『 ミュータント・タートルズ 』(公開3週目)
第3位『 ベイマックス 』(公開10週目)
第2位『 テラスハウス クロージング・ドア 』(公開2週目)
第1位『 アメリカン・スナイパー 』(公開1週目)
先日発表された「第87回アカデミー賞」で[長編アニメ映画賞]を受賞した『ベイマックス』が公開10週目でなお3位に、6部門でノミネートされながら[音響編集賞]だけの受賞となった、クリント・イーストウッド監督最新作『アメリカン・スナイパー』が初登場1位となっています。
今日はそのアカデミー賞で4部門を受賞した、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』日本では4月に公開されるこの作品を、イニャリトゥ監督へのインタビュー経験もある映画ライターの清藤秀人さんに紹介していただきました。
あらすじは…20年ほど前に「バードマン」というヒーローシリーズで主役を張った大スターがいたが、そのシリーズの集結とともにしばらく鳴かず飛ばずの日々を過ごしていて、今まさにブロードウェイで舞台デビューを果たそうと画策している主人公が、本番までの1週間の間に過去の色々なトラウマに悩まされたり、共演者に呼び込んだ俳優が意外と自分より上手くて焦ったり、アシスタントに迎えた娘との関係がうまくいかなかったりと様々な感情が入り乱れる中で、果たして彼はカムバックに成功するのか?というのを、ほぼ劇場の中だけで展開するという、とてもスタイリッシュで面白い映画です。
すごいのは、この主人公の現実と幻想、舞台と舞台裏、劇場の中と外が、一筆書きのように1ショット、1シークエンスのように撮られていて、このカメラワークだけでもものすごいグルーヴ感で、2時間これで突き進む映画というのは、私もここ10年ほど観たことがありません。ストーリーの面白さもさることながら、このビジュアルの面白さもあると思います。
監督のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは、『バベル』や『21グラム』といった、いくつかのエピソードがシャッフルしてそれが同時進行していく手法を得意としています。なので、ひとつの物語を時間を追って撮っていく映画ではなく、いくつかの時間軸を混合してひとつのストーリーにまとめるのが得意な監督が、これまでと全く違う“ある1週間”にフォーカスしたというその変わり身というか、監督自身の作風はほとんど変わらないはずなのに、全く違う手法で傑作を撮ってしまったという、この予期せぬ面白さがこの監督の魅力だったといま改めて思いますね。
主人公を演じたマイケル・キートンは、ご存じのように『バッドマン』で一世を風靡しました。彼自身も主人公と同じようなキャリアを歩んで来ていて、“マイケル・キートンそのもの”のような役をマイケル・キートンが演じている面白さがあると思います。にも関わらず、彼自身は「僕が演じた役の中で、いちばん自分とは遠い役だ。」とコメントしています。そういう、本性の見えない役者の面白さがこの映画には表れていて、共演のエドワード・ノートンやエマ・ストーンもなかなか良い魅力を発散していて、共演者全体を合わせてすごく良いムードを醸し出していたと思います。
今年のアカデミー賞は“時間”がテーマだったと思います。作品賞のライバルとされていた『6才のボクが、大人になるまで。』こちらは12年間かけて作った映画で、何度もキャストやスタッフを集めて撮影されました。こちらは12年間という時間の長さが映像に結実しているすごさがありましたが、『バードマン…』は1週間を2時間にまとめていて、この“時間と時間”“長いと短い”の対比がすごく面白くて、映画関係者は皆「6才のボク〜」が賞を獲ると思っていましたが、12年間を映像で体感することと凝縮した楽しさを比べたら、映画のリアル体験というのは『バードマン〜』に分があったのかな、という気がしています。
「第87回アカデミー賞」で、作品賞・撮影賞・脚本賞・監督賞のオスカーを獲得した映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』日本では4月10日より公開されます。楽しみですね!
今日は【 全国映画観客動員ランキング トップ5 】をご紹介しました。