これまでの「働き方」に大きな変換を求められる今、
私たちは、どう働き・・・、そして、どうキャリアを積んでいけば良いのか?
フィールドの異なる、これからの日本の未来をつくるトップランナーたちが、
ここに集い、自らの「キャリア」を通し、価値観、哲学、そして夢など語り合う
その言葉の中に、その描く「未来」が見える。
変革期の今、明日への未来へ一歩踏み出すため、
あなたの「可能性」を見つけてください。
土谷祐三郎
Retty株式会社 CFO
キャリアとは
吉田
:土谷さんにとってのキャリアとは?
土谷
:私にとってのキャリアというのは、あくまでも結果論にしかすぎないものだと思っています。
CFOとは
吉田
:「CFO」とは会社の中でどういう立場でしょうか?
土谷
:まずCFO(最高財務責任者)というものを分かりやすく説明しますと、“経営者の1人”と考えていただけたら、いいかなと思っています。僕の考えとしては、経営者は、チームで経営するものだと思っております。そのなかで、財務であったり、管理面が強い人がCFOという役割になると思っております。
土谷さんのキャリアを振り返る
吉田
:「キャリアとは結果論」ということでしたが、どういう意味なのでしょうか?
土谷
:キャリアというのは、結局、自分がやってきた歴史であって、それまでの経験がキャリアになるという所でしかなくて。
そもそも、何かを得たいからキャリアを変えていくというか、今を頑張っていて、そこからキャリアが身に付いていくものだと思っています。
このキャリアの概念に辿り着いた経緯は、会計士の資格を取ったところからでした。同じタイミングで受かった同期が1,000人近くいました。もっと言うと、会計士は3万人~4万人いて、そのなかで、いろいろと自分なりに頑張っていったところもあったのですが、トップを目指すことは、なかなか難しいのかな、と思ったところがありました。とはいえ、自分なりにいろいろと活躍できる場を探したいと思っているなかで、自分が非常に興味がある分野、戦略コンサルに飛び込もうと。
そもそも、私自身があまのじゃくだというところがありまして。同じ監査法人のなかでも、コンサルティング会社っていうのはありましたし、もっと言うと、「財務系コンサルティングみたいなところを目指したら良いのでは?」と、結構いろいろな人に言われたのですが、それだと普通すぎるなと。全然違う世界に行けば行くほど、自分の価値っていうものが強まるんだろうな、と強く思ったところがありました。
当時は、会計士から戦略コンサルに行く人は、あまりいない状態だったので、これは面白いだろうなと思って戦略コンサルに移りました。戦略コンサルでは、自分のキャリアを活かせないところからスタートしたので、本当に正直つらい思いをしました。
それまでのキャリアを1回、0ベースにして、1から作り直すところから始まりました。とはいえ結局、4年弱くらいいたなかで、いろいろ学べたことがありました。それがあったからこそ、自分のなかで複眼的な思考になれて、“会計士の自分”と“戦略コンサルの自分”という、2つの軸ができたなと思っています。だからこそ、いろいろな視点を持てるようになりました。ここに、もう1つの軸を足すと、2次元では平面にしか見えないものが、3次元では立方体になるような話に近いなと。だから、3つ目を掛け算してみようと。
それで、いろいろと考えた末にファンドに移りました。そこで本当にさまざまな経験ができて、実際に経営に携わることもできました。経営は非常に面白いな、総合格闘技に近いなと思いました。だからこそ、自分の強みを活かして、次に行こうと。ファンドの会社では、それまで出向という立場で関わっていたんですけれど、自分が実際に経営者として携われるような立場になりたいと思って、今のRettyという会社に入りました。
だから最初は、自分がなりたいところからスタートして、いろいろともがいていくなかで、このキャリアができていきました。結果、今の僕のキャリアは、結構きれいだってすごく言われるんですけど、そのときに考えて、たまたま辿り着いた結果でしかなくて。こうなろうと思ってやってきたものではないということですね。
これが正しいと思ってやってきたこともそうですし、もう1つの客観的な材料は、人から反対されると、その道に行ったほうが良いと僕は思ってしまうので。人が正しいと思った瞬間、それは一般論になって、誰もがやる世界になってしまうんです。
今でこそ会計士から戦略コンサルにいく人は結構いるのですが、当時は、ほとんどいなかったんです。だからキャリアは結局、自分で作っていくのに近いということです。自分でブルー・オーシャンを探しに行く動きも、めちゃくちゃ大事だなと思っています。
よく、会計士の方から「英語を学んだほうが良いですか?」とか「戦略コンサルに行ったほうが良いですか?」とかって聞かれるんですけど。僕は今となっては、それは遅いと思っているんです。中国語でさえ遅いと思っているので、「むしろアフリカでスワヒリ語を学んだほうが良い」とか、「そっちのほうに行ったほうが良いんじゃないか」って言っているくらいの感じなんです。本当に誰もが行かないところに行ったほうが、唯一の自分になれるのではないでしょうか。
Rettyが求める人材
吉田
:Rettyが求める人材について教えてください。
土谷
:我々にとって必要な人材は、本当に多種多様な人材が必要だと思っています。ただ、1つ言えることが、“食”を大事にしたい、と考えている人が第1だと思っています。
日本で生まれた食は、日本が誇るべき文化です。そういった気概があるベースを持っている人間に集まってもらって、そこに誇りを持ってグローバルに広げられたらいいなと。
本来、日本人は、実はすごく幸せな人種だと僕は思っているところがあります。自分に自信を持てない要素がすごく大きいと思っているなかで、食は日本が世界に誇る文化だと僕は思っています。東京の飲食店の数は、世界で1番多いと言われていますし、そういった文化を持っているのが日本なんです。日本に対して自信を持ってもらいたいっていう思いがあります。その1つの架け橋となるのが、僕らのサービスだと思っています。そういったことから生まれたサービスが世界に広がっていくことに対して、究極的には日本人が自信を持ってやっていけるようになりたいですね。
特に飲食で言うと、世界的に有名な飲食のほとんどの会社はアメリカなんです。なぜ、ファストフードの世界的チェーンがほとんどアメリカかというと、一言で言うと仕組みを作るのがうまいんです。本当の意味での良いものを日本が作れるにもかかわらず、そういったところまでいけてないということは、結局その仕組み自体がうまくいってないということなんでしょう。
ただ、本質的には、すごく良いものを作っているからこそ、そういった方々に対して、今の日本の良いものの価値を世界に伝えられたら良いなと、その1つが食だと思っています。なので、そういった同じようなことを考えてくれる人たちがいると、非常にRettyにマッチするんだろうなと思っているところです。
一般的に必要な掛け算
吉田
:世の中でどんな人材が必要とされているのでしょうか?
土谷
:今後、世の中的に必要な人材に関して言うと、これは完全に私見ですが、会社のあり方は、今後どんどん変わっていくと思っています。副業などが一般的には認められていくような社会になっていくと読んでいます。
1つの会社でずっと働き続けることは、多分なくなっていくだろうなとも思っています。もっと言うと、同じ時間軸のなかで複数の会社に所属したり、そもそも会社というものが、どうなっていくのかっていうことも多分あると思います。そのような志を一緒にする人たちが集まるコミュニティみたいなものが、今後できていくと見据えています。
そのなかで、個人がどうしていくべきか? それは、自分なりの軸を持って、そこから広げていくことが1番大事だと思っています。
プロフェッショナルとは?
吉田
:最後に、「プロフェッショナルは、自分のキャリアにどう向き合っていってほしいか」。について伺いました。
土谷
:僕は“キャリアの掛け算”だと思っています。まずは、1つの軸を作る。そこから派生して、何個かの軸を掛け算していくことによって、唯一無二の自分になっていき、いろいろな付加価値を付けられるようになっていきます。いろいろなコミュニティに所属していくなかで、自分なりの付加価値を作れるようになっていけると良いのではないでしょうか。
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