ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2015年1月25日のショートストーリー

「樫の木よりも、柳の木のように」

[ストーリー]

山根部長が社内にいるかは、すぐわかる。
常に、楽しそうな声が広がっているからだ。
デキル、というより、しなやか。
なんとなくつかみどころがないのだけれど、
その独特な感じに
周りはいつも巻き込まれていく。

ある日曜日、街でばったり遭遇した部長は、
いつものように、店員を巻き込んで、その場を盛り上げていた。
僕の顔を見つけると、挨拶もそっちのけで、
僕の妻に会社での様子を面白おかしく話始める。

呆れる僕をよそに話す部長の姿を眺めていると、
奥さんがそっと僕に話かけてきた。

「あの人、昔は、同級生がひいちゃうぐらい、
まじめなタイプだったのよ。
それで、高校時代に色々上手くいかなくてね、
その時先生に言われた
『樫の木よりも、柳の木のように』って言葉を
大事に守ってるのよ。
そんなとこも、実は律儀なの」

笑いながら言う奥さんをみながら、
そんな秘密を知って、
実は努力を重ねていた部長が、
何だかもっと好きになった。

東京都「なつ実」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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