ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2014年9月21日のショートストーリー

「ゴールまではどんな道を通ってもいいんです。」

[ストーリー]

どのくらいぶりだろう、こんなに緊張するのは。

法廷の扉を見つめながら、僕はふーっとひとつ息をついた。

「俺、弁護士になる。」

高校の頃。
映画の中で無罪を勝ち取るために戦う弁護士を観た僕は
みんなの前で、そう宣言したのだ。

とはいえ、それまでろくに勉強もしていなかった僕にとって、
司法試験のハードルは高かった。
気が付けば、２０代後半。
就職が頭によぎった正月。
高校時代の恩師から届いた年賀状に、小さく書いてあった。

「ゴールまではどんな道を通ってもいいんです。」

どこからか、僕の噂を聞いていたのだろう。
諦めようと思ったことは、何度もある。
でも、そのたびにこの言葉に支えられ、
最後の挑戦で、ようやく司法試験に合格した。

そして今日、僕は初めて弁護士として法廷に立つ。

先生とは卒業以来会っていない。
でも、今夜、裁判が終わったら先生に会いに行く。
やっと、御礼が言える時が来た。

広島県「けいここ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・杉山錠士

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