ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2014年8月17日のショートストーリー

「流れる川は、いつまでも美しい」

[ストーリー]

息子の後ろ姿は、どこか寂しげだった。

社会人になって、４ヶ月。
悩んでるみたい、と妻は心配していた。
あいつの性格からして会社に馴染むのに、時間がかかりそうなタイプだ。
上司とぶつかり、取引先に泣かされて、同僚と夢を語って、
ようやく一人前の社会人になる。

あいつの頼りない背中を見ていたら、
なぜだか、高校時代の自分を思い出していた。

クラスを代表して、英語のスピーチ大会に出場したものの、
緊張のあまり、思うように喋ることができなかった。
そんなとき、先生がこんな言葉を教えてくれた。

「流れる川は、いつまでも美しい」

一年後、もう一度挑戦しようと思えたのは、
先生のこの言葉があったからだ。

今度、息子を飲みに連れて行こうと思う。
社会人のアドバイスなどするつもりは毛頭ない。

「流れる川は、いつまでも美しい」

この言葉を聞いて何かを感じてくれれば、それでいい。

宮城県「おいこ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・菅井章博

• 前のストーリーを見る
• 次のストーリーを見る