ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2013年11月10日のショートストーリー

「教室は間違っていいところ」

[ストーリー]

仕事帰りの疲れきった体をひきずりながら、
暗い校庭を横切り、
光がこぼれる教室を目指す。

職場で遅れをとっていた僕を見かねて、
上司が、なかば強制的に送りこんだ夜間教室は
廃校になった学校を再利用する形で開かれていた。

下駄箱、階段、水飲み場・・・
かつては子供たちが走り回っていた廊下が
静かに左右に伸びている。

「教室なんて何年ぶりだろ・・・」
がらっと引き戸を引くと
そこには、多くの大人たちが集まっていた。

黒板の音とチョークの香り。
中学時代、何度も受けた補習授業を思い出すと
できない自分をいつも励まし続けてくれた先生の言葉が蘇る

「教室は間違っていいところ」

周りを見回すと、その場に集まっている大人たちは、
真剣な眼差しで話を聞いている。
僕は、まったく成長していない自分が急に恥ずかしくなって、
一から出直す気持ちで、真っ直ぐと黒板を見つめ
そして、改めて学べることのありがたさを感じた。

鹿児島県「篠沢教授に全部」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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