ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2013年8月11日のショートストーリー

「くちびるに歌を」

[ストーリー]

夏休みで訪れた沖縄は、お祭りで湧き上がっていた
若者からお年寄りまで、赤や黄色の華やかな衣装で、
皆が歌い踊る姿は
見ているだけでも楽しい気持ちでいっぱいになる。
宿のおばあは、そんな私たちを見ながら、
昔話をしてくれた。
戦時中、声を出して歌うことも禁じられていた沖縄では、
ひっそりと、囁くように歌い、お互いを励まし合っていたと。
だから、歌えることは、幸せの証なんだと。

そんな話を聞きながら、
私は高校時代の音楽の先生を思い出していた。
先生の中でも一番年配だった彼女は、
いつも楽しそうにピアノの前に座っていた。
そして、口癖のようにしていた言葉があった。
「くちびるに歌を」

歌を口ずさめば、どんな辛い時も乗り越えられる。
歌は幸せを運んでくれると、先生はいつも言っていた。

おばあが楽しそうに唄う姿を見ながら、
私たちは、改めて、先生の言葉を噛みしめ、何気ない幸せに感謝した。

奈良県「pacpac14」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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