ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2016年1月10日のショートストーリー

「殻の中に閉じこもっていたら、先には進めない」

[ストーリー]

PCモニターに現れた彼は、
また少し精悍な顔つきになっていた。

宇宙について学びたいと、
甥っ子が留学して、もうすぐ2年。
成人式には帰国するものと思っていたら、
課題が山積みでそれどころではないと言う。

どうしても、お祝いが言いたくて、
私は、使い慣れないビデオ通話アプリを立ち上げた。

「あんなに引っ込み思案だったあなたが、
外国で暮らしてるなんてね…」
そう言うと、彼は、ずっと大切にしてきたという言葉を教えてくれた。

「殻の中に閉じこもっていたら、先には進めない」

それはなかなかクラスになじめない甥っ子に
小学校の担任の先生がかけた言葉だと言う。

ある記憶がよみがえった。
小学生の甥っ子と電車に乗っていると、
ものすごく緊張しながらも、
お年寄りに声をかけ、席を譲ったのだ。

あの頃からキミは、自分の殻を破ろうと努力をしていたんだね。
そのまっすぐさは、私の心も照らしてくれる
まばゆい一等星だ。

愛媛県「Ｓ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・市川榮里

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