ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2015年5月10日のショートストーリー

「大きな人間になれ。」

[ストーリー]

休日出勤を終えて家に帰ると、
ドアノブに見覚えのある紙袋がかかっていた。
母の仕業に違いない。

相変わらず子ども扱いか。

少しだけ呆れながら包み紙を開けようとして、思い出した。
今日は母の日だ。
忙しさにかまけて、すっかり忘れていた。

実家近くにある和菓子屋の袋。
中には、子どもの頃から大好きだった大福が二つ、入っていた。
そして、メモが一枚。

「大きな人間になれ。」

それは、元々気が短い母親が小学生の頃に恩師にもらった言葉。
兄弟の中で一番性格が母に似ている僕は
昔から、この言葉を数えきれないほど言われてきた。

そういえば、最後に母と電話で話した時も
だいぶ冷たく接してしまった。
そのやりとりで、今の余裕のなさが伝わったのだろう。
大福と、母からもらった言葉をかみしめた。

来年は絶対に母の日を忘れないようにしよう！
僕は、そう誓った。

愛知県「大きな人間」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・杉山錠士

• 前のストーリーを見る
• 次のストーリーを見る