ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2015年4月19日のショートストーリー

「穴の開いたバケツでも、もれる以上に水を注げばいつか満杯になる」

[ストーリー]

「体調が悪いから、今日は休むね。」

短いメールを送信して、携帯をテーブルに置いた。

去年の春、自分を変えたくて入った英会話スクール。
熱心な指導の甲斐もあって
少しは話せるようになったと思う。

でも、想定外の質問をされると、言葉が出てこない。
きっと才能がないんだろうな。
そう思うと、レッスンに行くのも億劫になってしまった。
その時、携帯が鳴った。
気の合うクラスメートからだ。

何も知らず私の体調を心配しているので
なんだか申し訳なくなって、本当のことを話した。
すると、彼女は恩師にもらったという言葉を
私に教えてくれた。

「穴の開いたバケツでも、もれる以上に水を注げばいつか満杯になる」

それは、勝手に自分の実力に見切りをつけていた私には
まさにぴったりの言葉だと思った。

「やっぱり、行くね。」

私は、よし！と気合を入れなおして、
家を出る支度を始めた。

神奈川県「相模守」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・杉山錠士

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