ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2015年2月1日のショートストーリー

「ドアの前で考えるな。」

[ストーリー]

小学校２年生の娘と一緒にお風呂に入るのは本当に楽しい。

仕事と家事を両立させるのは大変だけど、
娘が楽しそうに話す学校で起こったことを聞いていると
いろいろなことを忘れられる。

ただ、今日はちょっと違った。
人事異動で、
４月からまったく経験のない部署に行くことが決まったのだ。
先のことを考え始めると、娘の話も全然耳に入ってこない。

「ママ、聞いてる？」

あ、そういうのもわかるんだ。
なんとなくごまかしながら相手をしていると
ふと耳に飛び込んできた言葉にハッとさせられた。

「ドアの前で考えるな。」

引っ込み思案でいつも職員室に入るのを躊躇してしまう娘が、
今日、先生に言われたというその言葉。
まるで自分に言われているような気がしてならなかった。
確かに、何もやる前から考えても、仕方ない。
なんだか、前向きになれた。

「ありがとう。」

何が起こったかわからない娘は
不思議そうにこっちを見ていた。

山口県「メタボ中年」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・杉山錠士

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