ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2014年8月31日のショートストーリー

「深刻にならずに、真剣に！」

[ストーリー]

息子の帰宅時間がどんどん遅くなったのは、
自分の転勤が決まってからのことだった。
高校に入ってからは、会話は減ってしまったものの、
自分と同じように、息子が野球に打ち込んでいるのは、
嬉しかったし、
時には一緒に野球観戦もした。
でも、そんな息子がどんどん離れていくような気がした。

反抗期だと半ばあきらめていると、
妻からは意外な答えが返ってきた。
「あなたのために自主練してるのよ」

今度の試合が、
私が観戦する最後の試合になるかもしれないからと
必死で練習しているという息子。
私には、その事実をひた隠しにしている。

私は、疲れ切った息子の姿を見ながら、
自分が感じていた
新しい生活に対する不安や寂しさを恥ずかしく思い、
ふと、自分が、試合の前、
監督によく言われていた言葉を思い出した。

「深刻にならずに、真剣に！」

悪い方に考えず、今、自分ができることをやっていく。
この言葉を思い出させてくれた息子の成長を感じ、
こみあげてくる愛おしさに胸がいっぱいになった。

長野県「ありがとう1964」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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