ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2014年2月9日のショートストーリー

「時間を守れない人は、失うものがたくさんある」

[ストーリー]

私は、必死に走っていた。
重たい鞄を肩に担いで、
紙袋に入った資料を雨に濡らさないように・・・
台風で電車が遅れてしまったのは、どうしようもないこと。
それでも、私が走り続けるのは、ある言葉が胸に残っているから。

朝が苦手で、遅刻の多かった高校時代。
毎朝、校門の前で教頭先生に叱られていた。

「時間を守れない人は、失うものがたくさんある」

えっ？失うものなんて、何一つないのに・・・

そんな、ある日のこと。時間通りに登校してみると、
教室には、「おはよう」と爽やかな声が飛び交い、
会話の花が咲いていた。
私は、青春時代の、かけがえのない時間を失っていたらしい。

ねえ、先生。社会人になって、あの言葉の大切さ、身に染みてわかるよ。
失った信用は、なかなか取り戻せないもんね。
私は、乱れた呼吸を整えてから、
失礼します！と元気な声で、会議室の扉をゆっくりと開けた。

沖縄県「あ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・菅井章博

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