ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2014年1月19日のショートストーリー

「一人で生きてきたと思わないで」

[ストーリー]

「大丈夫？　目、覚めた？」
気が付くと同僚が
私をじっと覗きこんでいた。

ぼーっとしている記憶が少しずつクリアになり、
やっと自分の状況が呑み込め、
そして、大急ぎで子供を迎えに行かなければならないことを思い出した。

私が慌てて起き上がろうとすると、
彼女が、落ち着いて、という仕草をする。
そして、すでに家族に連絡したことを教えてくれた。

「頑張りすぎないの」
そうささやく優しい声に
思わず涙が出そうになる。
仕事でも家庭でも、自分ばかりが忙しい、頑張っている、と感じて
周りの人にまったく優しくなかった自分が、恥ずかしくなった。

家路に向かいながら、
高校の先生から言われた言葉を思い出した。

「一人で生きてきたと思わないで」

反抗期真っ盛りだった私に、
普段優しい先生が、目が覚めるような強い口調で放った言葉。
あの情景が今でも脳裏に浮かぶ。
私は、この言葉を改めて胸に刻み、
私を支えてきてくれた人、皆に感謝しなくては、と思った。

石川県「カフェママ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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