ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2013年9月15日のショートストーリー

「人生笑ってなんぼ」

[ストーリー]

憧れてやってきたこの街で、
私は、慣れない習慣も聞き取れない言葉も
すべてに疲れてきていた。

賑やかなレストランには
一人で食事する人の姿などなく、
素通りするのが日課になっている。
でも、その日はなぜか真っ直ぐ帰りたくなくて、
観光客の多い丘の方へ、流されるように上がって行った。

ふざけ合う学生たちや写真をとるカップル。
この道を来たことを後悔し始めていた時
目の前に小さな花が一輪、差し出された。
派手な衣装に身を包んだ道化師が、
優しい眼差しで、私に花を手渡す。
疑い深い目つきで見上げると
その道化師は、笑って、と言わんばかりの仕草をした。

中学の頃、先生に言われた言葉が心の中にこだまする
「人生、笑ってなんぼ」

夕日に染まる街を遠くに見ながら、
私は、渡された花を手に、
笑っているんだか、泣いているんだか、わからない顔になっていた。

愛知県「あまのじゃく」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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