ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2013年8月25日のショートストーリー

「言葉はつながるためのもの」

[ストーリー]

リビングに一人取り残された僕は、大きくため息をついた。
5年の月日の中で、僕らの何が変わっていったのか、
もうきっかけすら、わからなくなっていた。

団らんの空間だったはずのその場所は、
二人でいると、どうしようもない居心地の悪さに包まれ
口を開けば、相手を傷つける言葉しか出てこなかった。
「智くんの言葉、痛いよ」
彼女が最後に言ったのは、そんな言葉だった。

僕はふと遠い昔のことを思い出す。
夕日の差し込む教室で
ケンカばかりしていた僕が
相手を打ち負かすために吐いた言葉に
先生は悲しい顔をして、こんな言葉を言った

「言葉はつながるためのもの」

あの言葉は、家庭を失った先生が、自らを戒める言葉だったのかもしれない。

更けていく夜、
僕は指輪を静かに薬指に戻し、
先生の言葉を胸に
彼女の部屋をノックした。

奈良県「シャチ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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