ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2013年5月19日のショートストーリー

「字の美しさは、心の美しさ」

[ストーリー]

夫の仕事が忙しいことはわかっているつもりだ。
でも、今晩、夕食を家（うち）で食べるか食べないかくらい、メールをくれたらいいのにと思ってしまう・・・。
そう告げると、そっけないメールのやりとりが定番になった。
『今日、メシ、いらない』、『了解』『夕飯、済まて帰る』『わかった』。

ある深夜。寝ているとキッチンでがさごそ音がする。
おそるおそるのぞくと、カップ麺をすする夫の後姿が見えた。
一生懸命働いているのに、なんだか可哀そうに見えてきた。
私は、次の日の夜、先に寝る前に、おにぎりと手紙をテーブルに置いた。
翌朝、起きると、テーブルに夫から返事があった。
「お前のおにぎり最高。明日は少し遅くなるけど、うちで食べる。」
と書かれていた。

その夫の字を見て、書道を習っていた頃、先生に言われた言葉を思い出した。

『字の美しさは、心の美しさ』

夫の字を見たら、やさしさが伝わってきた。
字の美しさという本当の意味を知った気がした。
ありがとう、先生！

神奈川県「カチカチ山」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・北阪昌人

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