ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2016年4月17日のショートストーリー

「1ミリでも前に進め」

[ストーリー]

このままでは間に合わない。
ショーが始まるのは午後2時。

まったく、こんな直前にデザイン変更をするなんて。
相変わらず担当デザイナーは作る時間を考えてくれない。
とはいえ、少しでもいいものを発表したいという気持ちはわかる。
だからこそ、仕上げる立場の私たちは
なんとしてもそれに応えないといけない。
いや、応えたい。

ただ、今回ばかりは時間が足りなすぎる。
せめてもう1時間ほしい。
焦る気持ち、でも、雑になってはいけない。

張り詰めた空気の中、隣で作業していた仲間が言った。

「1ミリでも前に進め」

それは彼女がマネージャーをしていた
ラグビー部の先生の言葉。
試合前のミーティングで必ず言っていたそうだ。

確かにその通りだ。考えていても時間は過ぎる。
今はただ自分ができることをしよう。

私は彼女と少し目を合わせて
よし！と気合を入れ直した。

東京都「おっちゃん」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・杉山ジョージ

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