黒川伊保子
さん

結論から言うと、私「定年夫婦のトリセツ」という本も出しているんです。定年夫婦には独特の方法論があって、50代くらいから、“親友になる”という練習をしておかないといけないと思っているんです。例えば、「いってらっしゃい」をする時に、毎日握手やハグをする。 親友としての道を歩き始めないと、夫婦は子育てが終わったところで他人になってしまうので。 2人でやることを何か持っておいた方がいいですね、山を登ったり、映画を観に行くでもいいです。 2人で定番でやる趣味を持っておいた方がいいです。男と女が面と向かうと腹が立つことばかりなんです。それは脳が違いますから。 2人が一緒に見れるもの、何でもいいの作っておいてほしいです。 そういう準備をしないでいきなり定年になった場合、気を付けてほしいのが、旦那さんにも奥さんにもあります。 ご主人の方は「昼飯は何だ？」とか「夕飯は何だ？」と、早い時間に絶対に聞いちゃダメです。 女性はシンキングコストが高いので、朝の9時半に「昼飯は何だ？」と聞かれると「お昼、何にしよう？ 今日は焼飯にしよう」と決めるとします。 お昼まで2時間半あるので、“エビでも入れようかな、じゃあ解凍しなきゃ”、“ニンニクも醤油に漬けておかないと”となって、どんどん手がかかっていってしまうんですよ。女性のシンキングコストは、ものすごくストレスなんです。 だから、出かける前にやらなくてもいいことをするじゃないですか？ ドライブだったら、女性は“あれをしておかなきゃ”と、ドライブのあいだ楽しめないんです。 男子はゴール思考だから、ゴールを決めたらあとはすっかり忘れて、安心して色々できるから。次のゴールが昼だったら「昼飯は何だ？」夜なら「夜飯は何だ？」と聞いちゃうんだけど、それをやるとずっと間が埋まっちゃうから、女子がめちゃくちゃ苦しいんですよ。“ゴールだけをどんどん言わないで”というのが、男子に言いたい一番のことです。 女子の方ですと、男性は定番が命なんですね。周りを定番で固めておくと、敵に襲われたときにすぐに対処ができるからです。自分の身の回りは常に定番にしておきたいんです。 “妻は家にいる”という事が定番だと思っている方は、いきなり妻が出かけるときに不安になってしまうんです。 だから「いきなりストッキング穿くな」「いきなり口紅塗るな」って言いたいんです。 それをすると不安になるから、自分のスケジュール概況を最初から言っておいた方がいいですね。 一ヶ月前、週の頭に言ってあげる。出かける当日は「◯◯時に出かけるよ、◯◯時に帰るよ」と、ちゃんとスケジュールを前々から言っておいて、着替える前に報告する。「いってきます」の前に言ってあげて安心させてあげた方がいいですね。 これは男の子の子育てでも同じです、一言、言ってあげると安心できるんです。 これはお互いのストレスを少なくする、一番の方法ですね。