NAGOMI Setouchi

2019
07/27

瀬戸内国際芸術祭 edition
Setouchi Triennale 2019
「大島編①」

もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」

瀬戸内国際芸術祭2019の夏会期が始まりました。瀬戸芸スペシャル・ナビゲーターの前田エマさんは、瀬戸芸の舞台となる島や町、集落を訪れ、取材しました。
そのときの旅から、今週は、大島へ。
「瀬戸内国際芸術祭2019」

大島青松園の事務所が高松港にあります。
「国立療養所大島青松園」

高松海上タクシーにお世話になりました。今回は、海上タクシーで大島へ。大島は、高松港から船に乗って、およそ20分ほど。

大島の港が近づいてきました。高松港から北東へおよそ8kmの瀬戸内海に浮かぶ小さな島、大島。「大島青松園」は、全国に13ある国立ハンセン病療養所のひとつです。現在、大島に暮らしているのは、療養生活を送っているハンセン病回復者と、一部の職員だけ。白砂青松に囲まれた美しい島ですが、ここで多くのハンセン病患者が、国の政策によって隔離生活を強いられました。ハンセン病に対する間違った知識と、偏見や差別から、本当の名前を奪われ、自分の親、子供、親族など、大切な人との縁を一切絶たれたまま生涯を終え、島の納骨堂に眠る人が、2千人を超えます。

白砂青松、という言葉が、これほど似合う場所はなかなかありません。

社会交流会館で見た、大島のジオラマ。今回、大島を案内してくれた、瀬戸内国際芸術祭の実行委員会、菅原嘉人さんと。

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