NAGOMI Setouchi

2019
06/08

瀬戸内国際芸術祭 edition
Setouchi Triennale 2019
「男木島編②」

もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」

4月26日から5月26日まで開催されていた、瀬戸内国際芸術祭2019の春会期。瀬戸芸スペシャル・ナビゲーターの前田エマさんは、開幕式直前から開幕直後まで高松に滞在し、瀬戸芸の舞台となる島や町、集落を訪れ、取材しました。今週も引き続き、そのときの旅から、男木島の旅をご紹介します。

スペインの芸術家、ジャウメ・プレンサ氏による過去の瀬戸芸の作品「男木島の魂」が迎えてくれる男木島港。今、この作品は、男木交流館として、島の人々に、旅人に、日常的に愛用されています。張られた水に映り込む島の情景は美しく、特に夕方の水鏡はずっと眺めていても飽きることがありません。

瀬戸内国際芸術祭2019実行委員会の林実紀さんが、島を案内してくれました。瀬戸芸の舞台となっている島々には、それぞれ、香川県や高松市の職員が、担当者として振り分けられ、瀬戸芸担当としてお仕事をされていますが、林さんは、男木島、女木島などを担当しているそうです。偶然、前田エマさんとは同世代。ふたりはすっかり仲良くなりました。ふたりが立っているのは、「男木島 路地壁画プロジェクト wallalley」の前。眞壁陸二さんによる、瀬戸芸アート作品のひとつ。男木島の細い路地を歩けば、眞壁さんのウォールアートに出逢います。

栗真由美さんによる「記憶のボトル」。島の人々の記憶をボトルに封入し、小さな明かりでその記憶を見せるインスタレーション。無数の瓶の中には、島の人々の思い出のモノが入っています。古い蔵の中に展示されていました。

島ではいつもそこに、瀬戸内の海と、近くの、あるいは遠くの、島影が見えます。

林さんが次に連れていってくれたのは、
「男木島図書館」。

NAGOMI Setouchiでは、これまで幾人かの旅人たちと共に、何度か訪れたこの場所。
前田エマさんと共に訪れるのは、今回が初めてでした。

「男木島図書館」創設者、理事の、額賀順子さん。

前田エマさんと、瀬戸芸実行委員会の林実紀さん。来週も、林さんの案内で男木島を歩きます。

人より猫の数の方が多い島、男木島。「夏会期にまた来いにゃん」

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