- 今月の旅人
- 知花くらら(モデル)
沖縄県那覇市出身、島人でもある知花くららさんが、瀬戸内の多島海を旅します。沖縄の島々を旅し、世界各地を旅してきた知花くららさんが見て、感じる、瀬戸内の海と島々、自然、人々の営み。男木島、豊島、高松と、秋の瀬戸内を旅します。
もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」。
沖縄県那覇市出身、島人でもある知花くららさんが、瀬戸内の多島海を旅します。沖縄の島々を旅し、世界各地を旅してきた知花くららさんが見て、感じる、瀬戸内の海と島々、自然、人々の営み。男木島、豊島、高松と、秋の瀬戸内を旅します。
知花くららさん、今日は、高松の街を散策。最初にやって来たのは、大工町にあるこちら、「GRAPH work store(グラフ・ワークストア)」。ここは、「GRAPH design(グラフ・デザイン)」の名前で活動するデザイナー、松岡泰子さんが営むお店。
「GRAPH design」
すべて手作りの、いろいろなタイプ、種類のバッグや、
小物たちが置かれています。
デザイナーで、「GRAPH design」代表の、松岡泰子さんは、学生時代からずっとヨットに乗っていました。セーラーウーマンです。GRAPH designは、世界中のヨット仲間たちから送られてきた、古くなって使われなくなったヨットのセイル(帆)を遣って、デザインから縫製まで、一点一点手作りで、バッグや小物を作っています。大きなセイルのどの部分から作られているのかによって、現れてくる色や文様など、一点ずつすべて異なります。世界に2つと同じデザインのものがない、バッグや小物たち。
世界の海を旅し、熱い日射しを浴び、強風や激しい雨にも耐え抜いて……、そうして役目を終えたセイルは、とても丈夫で、驚くほどの軽さ。
その後、高松市の中心からちょっと車を走らせた場所にある、「GRAPH design」の工房、アトリエにもお邪魔しました。こちらです……
スタッフは、松岡泰子さん入れて、3人。
こちらは、松岡功さん。泰子さんの息子さん!
そして、アーティストとしても活動している、千葉尚美さん。
知花くららさん、アトリエに展示されていたバッグが気に入り、
なんと、お買い上げ!
GRAPH designの松岡泰子さん、
松岡功さん、千葉尚美さん、
ありがとうございました。
この日の高松ランチは、松岡泰子さんオススメの、「手打十段 うどんバカ一代」へ。行列店ですが、ランチタイムより早めに行ったので、すぐに座れました。名物の「釜バターうどん」!
松岡泰子さんが次に連れて行ってくれたのは、こちら、高松市の北浜エリアにある、港の古い倉庫街
「北浜alley(アリー)」
瀬戸内に面した港町、高松。JR高松駅から徒歩10分ほどの北浜地区には、漁船が係留された船着き場など、港町らしい風景が広がっています。その一画にある、古い倉庫街。赤茶けたトタン、錆びた鉄、古い木の柱、壁にはツタが絡まり、オリーブの樹が木陰を作ります。海辺のその古い倉庫街が、レトロで趣のあるレストラン、カフェ、ギャラリー、ショップになっています。瀬戸内の海の潮風、空と島影を感じながら、のんびりした時間を過ごせる場所。古くて、どこか懐かしく、でも新しい風が流れている空間、それが「北浜アリー」です。
こちらは、デザインラボラトリー蒼が営む、カフェ&レストラン、瀬戸内の素晴らしい眺めも楽しめる、
「umie」
そしてこちらが「デザインラボラトリー蒼」。「この窓からの眺めを、知花くららさんに見せたかった」と、GRAPH designの松岡泰子さんが連れてきてくれました。北浜アリーについておはなしを聴かせてくれたのは、デザインラボラトリー蒼の代表で、アート・ディレクター、写真家でもある、柳沢高文さん。柳沢さんはこう語りました。「高松や島々、そして瀬戸内の各地で、ゆるやかに自分たちのペースでモノ作りをするクリエイター、作家たちは、凪の海のような人たちなんだ」。凪の海のような人々……! 「NAGOMI Setouchi」がずっと探していた答のひとつを聞いたような、そんな気がしました。これからも番組では、幾度も幾度も、「凪の海のような人々」に逢いに、瀬戸内へやって来ようと思いを新たにしました。来年は瀬戸内国際芸術祭もありますが、デザインラボラトリー蒼も、来年の瀬戸芸の舞台のひとつです。
知花くらら「またいつか戻りたい場所」
「故郷の沖縄の海とはまた違った、静かな瀬戸内海を船で渡って島にたどり着くと、猫がいっぱい。猫の島々だとは聞いていましたが、まさか猫の群れと出会うとは。
猫たちの、角のない流れるような優雅な欠伸の連続。見てるとこちらまでのんびりしちゃいます。それから、その欠伸の音まで聞こえそうな島の静けさは、愛すべき風景。
出会ったみなさんのやわらかな笑顔が、忘れられません。湖のように穏やかな瀬戸内海のごとく、人々の心も凪いでいるんだなあって。つい、私もこの土地に住み着きたくなるくらいの愛しさでした。
海のある風景。
猫の欠伸。
潮風の匂い。
島を愛する人々の、等身大の暮らし。
なんて贅沢。
またいつか戻りたいな」
「アスファルトを肉球がやはらかく圧し猫の欠伸のこだまするせとうち」 知花くらら
多数の女性ファッション誌でモデルを務めるほか、TV・ラジオ・CMに出演している。2015年12月、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」津田梅子役で女優デビュー。2016年10月、フジテレビ系「キャリア~掟破りの警察署長~」では、ヨガインストラクターの加納理香役として連続ドラマレギュラー初出演。現在は、JFN「企業の遺伝子」にレギュラー出演、集英社「Marisol」、プラネットライツ「男の隠れ家」にて定期連載中。また、国連WFP日本大使としてアフリカやアジアなど食糧難の地域への現地視察を行い、日本国内で積極的に現地の声を伝える活動を行っている。30ヶ国以上の海外への旅で得た経験、高い社会性と知性、また女性からの強い支持を受けている自然体な内面性・ファッション面、語学力を活かし国内外で活躍中。
知花くらら公式サイト