- 今月の旅人
- 知花くらら(モデル)
沖縄県那覇市出身、島人でもある知花くららさんが、瀬戸内の多島海を旅します。沖縄の島々を旅し、世界各地を旅してきた知花くららさんが見て、感じる、瀬戸内の海と島々、自然、人々の営み。男木島、豊島、高松と、秋の瀬戸内を旅します。
もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」。
沖縄県那覇市出身、島人でもある知花くららさんが、瀬戸内の多島海を旅します。沖縄の島々を旅し、世界各地を旅してきた知花くららさんが見て、感じる、瀬戸内の海と島々、自然、人々の営み。男木島、豊島、高松と、秋の瀬戸内を旅します。
知花くららさん、森島丈洋さんに案内されて、こちらへやって来ました。畑と瀬戸内海を見渡す島の高台にある、トタン屋根の不思議な建物……。ここは、「ウサギニンゲン劇場」です。
「ウサギニンゲン劇場」、映像担当の、
平井絵美さん。
「ウサギニンゲン劇場」音楽担当、
平井伸一さん。
倉庫のような建物の内部が、手作りのシアター(劇場)になっています。音、音楽、光、映像を自在に駆使したインスタレーション・アートの世界!
この日は、知花くららさん、そして番組の取材のため、特別に一部を見せてくださいました。劇場がオープンしている時期には、ここに大勢の人々が集まってきます。旅行者はもちろん、島の子供たち、大人たち、おばあちゃんやおじいちゃんも。
「装置」、という言葉がぴったりの、お2人が愛用している道具の数々。それらは楽器であり、手作り機械仕掛けのマシン。時代や場所を軽々と飛び越え、このシアターの中に、オリジナルの、独特の世界が広がっていきます。言語も国境もないアートの世界です。彼らが紡ぐ物語は、どこか懐かしく、温かくも切なく、観ている者の五感に響いてきます。最初「これはなに?」と思っていても、ただ無心で全身で浴びていれば、自然にこちらに放射されてくる光と影と音のアート、と言えばいいでしょうか。
手作りの楽器。古くて新しくて、不思議な見かけですが、そこから放たれる音の数々も不思議、新鮮、そして、新しくも懐かしい感じです。
平井絵美さんは、1980年神奈川県横浜生まれ。女子美術大学デザイン学科を卒業後、広告企画制作プロダクションに勤務し、アートディレクター、デザイナーとして活躍。2007年に、デザインプロダクション「usaginingen」を立ち上げました。その後、ドイツ、ベルリンに拠点を移し、映像アーティストとして活動を開始。6年間をベルリンで過ごした後、2016年に香川県豊島に活動拠点を移しました。平井伸一さんは1977年、香川県豊浜町出身。北里大学医療衛生学部卒業後、国家資格を取得し、診療放射線技師として東京都内の病院に勤務していました。その後、音楽活動のため、イギリスやドイツで7年間を過ごし、2016年にここ豊島へ。2012年からusaginingenの音楽を担当しています。この日、絵美さんは、背中に赤ちゃんをおんぶしたまま、ステージを見せてくださいました。
世界を旅し、人々の心を旅させるアーティスト、usaginingen。自作の映像機と楽器が紡ぎ出す、光と音の物語。子供も大人もきっと魅了されるオリジナルの世界があります。ウサギニンゲン劇場のスケジュールなどは、下のホームページをご覧ください。
「ウサギニンゲン劇場」
森島さんが次に案内してくれたのは、一軒の古民家。
庭の真ん中にあるのは、1本のレモンの樹。青々としたレモンがなっていました。瀬戸内のこの辺りでは、レモンやミカンといった柑橘類の収穫は、12月初旬から始まり、翌年5月頃まで続くそうです。
こちらは、「檸檬ホテル」。
瀬戸内国際芸術祭2016作品です。「泊まれるアート作品」として、豊島の唐櫃地区にある築90年の古民家を再構築して誕生しました。この作品を作ったのは、Soup Stock Tokyoなどを運営する株式会社スマイルズ。瀬戸芸2016の会期終了後も、宿としてここにあります。1日1組貸し切り限定で泊まれる宿です。2名~5名まで宿泊はできます。ここに泊まるゲストは、建物とレモン畑など400坪の敷地を占有し、併設されたレモン小屋にある風呂では、レモンの樹の下で入浴。美味しいごはんが出てきます。豊島でとれた新鮮な野菜や魚など地の素材を中心としたプレート、豊島レモンや豊島で収穫されたオリーブオイルなどなど。予約や空き状況の確認は以下。
「檸檬ホテル」
「檸檬ホテル」支配人の、酒井啓介さんと。酒井さん、もともとスマイルズ社員。Soup Stock Tokyoの店舗で働いていたことも。あるとき、スマイルズ社長の遠山正道さんに、特に深い意味もなく「一度、島に暮らしてみたい」という話をしたところ、遠山さんは、「じゃあ、いいところがあるよ!」と言って、この豊島に派遣されたそうです。そう、会社からの辞令です。「檸檬ホテル」支配人として。結婚し、都心のマンションに暮らし始めたばかりの頃で、奥さんは最初「えっ!?」という感じだったそうですが……(笑)。今では奥さんもすっかり「島の人」になられたようです。
「檸檬ホテル」はれっきとしたアート作品。敷地の中にいろんな「仕掛け」が施されています。ここからのぞいて見えるのは……それはぜひ行って、ご自身で確かめてみてください。
「ほほ檸檬しなさい」と書かれています……ほほ檸檬、とは??
これも、実際に訪れて、ぜひ確かめてみてください。宿泊しなくても、作品鑑賞だけも可能です。詳しくは「檸檬ホテル」ホームページにてご確認ください。
「檸檬ホテル」に泊まって、豊島滞在、いかがでしょうか。「ウサギニンゲン劇場」も、「食堂101号室」も、徒歩圏内です。
多数の女性ファッション誌でモデルを務めるほか、TV・ラジオ・CMに出演している。2015年12月、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」津田梅子役で女優デビュー。2016年10月、フジテレビ系「キャリア~掟破りの警察署長~」では、ヨガインストラクターの加納理香役として連続ドラマレギュラー初出演。現在は、JFN「企業の遺伝子」にレギュラー出演、集英社「Marisol」、プラネットライツ「男の隠れ家」にて定期連載中。また、国連WFP日本大使としてアフリカやアジアなど食糧難の地域への現地視察を行い、日本国内で積極的に現地の声を伝える活動を行っている。30ヶ国以上の海外への旅で得た経験、高い社会性と知性、また女性からの強い支持を受けている自然体な内面性・ファッション面、語学力を活かし国内外で活躍中。
知花くらら公式サイト