- 2018
- 04/14
坂本美雨の瀬戸内紀行
「猫と子供、音楽とアート。男木島、高松、丸亀、春の旅」02
もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」。
- 今月の旅人
- 坂本美雨(歌手、音楽家)と、なまこちゃん(愛称)
坂本美雨さんが、愛娘のなまこちゃんと一緒に瀬戸内を旅していきます。人より猫の方が多いと言われる男木島へ。高松では鉄の作家と、ガラスのアーティストに出会います。丸亀の森にある樹木をテーマにした空間では母娘で遊び、丸亀の美術館でおおはた雄一さんとの「おお雨」ライブ。もちろん、讃岐うどんを食べて、瀬戸内の新鮮な魚に舌鼓を打ち、青い海と春の光に寄り添って……。坂本美雨さん、盛りだくさんの春の瀬戸内旅、はじまり、はじまり。
四国、香川、高松。坂本美雨さん、娘のなまこちゃんと一緒に朝の高松散歩。向かっているのは、「鉄のアーティスト(Iron Artist)、鉄作家」のアトリエです。鉄のアーティスト?? いったいどんな作品を作っている方なんでしょうか。音楽家であり、自分もモノ作りをしているアーティストでもある坂本美雨さん、興味津々です。
「Gallery ALTANA」とも書かれています。大きな倉庫のような、工場跡のような場所です。鉄の扉を開けて、中へ入ると……
小さな宇宙船のポッド(……のように見えるもの)があったり、
「TEPPAN(テッパン)」の名称で大人気の、鉄のフライパンたち。「これで目玉焼きを作れば、最高なサニーサイドアップができる」んだとか!
鉄工所、そして、鉄作品が生まれる工房、アトリエがひとつになった「槇塚鉄工所」。広くて、いろんなものがあって、なまこちゃんは大興奮!(それ、触ったらダメ〜!というお母さん美雨さんの声が幾度も・笑) ひと言でいうと、ここは「少年の遊び心とロマンティック魂が所狭しと詰まった場所」です。
バックヤードもあります。ハンモックに、焚き火台があって、このままピクニック、そしてキャンプができそう!
鉄で作ったギターが飾られ、手作りの暖炉がある、鉄と流木で作られた、船室のようなバー。「今度、絶対来たい!」と坂本美雨さん。
1972年、香川県に生まれた槇塚登さん。高松工芸高校電気科卒業後、映像制作会社勤務を経てフリーランスに。その後、実家の鉄工所に勤務しました。家の仕事を手伝いながら、その傍ら、鉄くずや流木、ガラクタを集め、作品作りをスタートしたそうです。個展、グループ展を開催。工場の2階にあった物置スペースを整理、改装して、ギャラリーを開設。「Gallery Altana」では、県内外のアーティストの企画展などを多数開催しています。
「コーヒーを淹れましょう」槇塚さんはそう言うと、坂本美雨さんをバックヤードへ誘いました。どこか別世界のような工場の裏庭で、槇塚さんお手製の焚き火台を囲むように座りました。槇塚さんはモーラナイフで火を熾すと、コーヒー豆をローストし始めます。「焚き火ブレンドのコーヒーです」槇塚さんが焚き火の炎でコーヒーの生豆をローストしていくと、しだいに豆は茶色に、焦げ茶色に……
スウェーデン生まれの「レンメル・コーヒー」スタイル(煮出しコーヒーの一種)で槇塚さんが淹れてくれた焚き火ブレンド・コーヒー。
槇塚登さん、楽しい時間、おはなしを、ありがとうございました!また遊びに来ます。
槇塚さんの猫にも会えました。
ネコ吸いタイムの美雨さんです。