- 今月の旅人
- 山根基世(『NAGOMI Setouchi』案内人。
元NHKアナウンサー)
元NHKアナウンサー)
『NAGOMI Setouchi』スタート時より、番組の案内人を務めている山根基世さんが、今月の旅人。瀬戸内生まれ、育ちの山根さんが、愛媛県道後をベースに、松山、しまなみ海道を旅していきます。その旅の背景にあるのは、種田山頭火。九州に生まれ育った山頭火は、晩年を松山で過ごし、その地で没しています。
もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」。
『NAGOMI Setouchi』スタート時より、番組の案内人を務めている山根基世さんが、今月の旅人。瀬戸内生まれ、育ちの山根さんが、愛媛県道後をベースに、松山、しまなみ海道を旅していきます。その旅の背景にあるのは、種田山頭火。九州に生まれ育った山頭火は、晩年を松山で過ごし、その地で没しています。
お昼ご飯は、ここ!
四国、愛媛、松山のソウルフードです。
名店「アサヒ」の鍋焼きうどん。1947年(昭和22年)創業当時の味が今も引き継がれている老舗店です。現在4代目の店主がその味や世界を守っています。アルミの鍋とアルミのレンゲにまずは目を奪われ、お汁を一口すすればその深い味わいに心と身体がほっこり。松山ラーメンは独特の甘さが特徴ですが、こちら松山名物の鍋焼きうどんも汁の「さわやかな甘さ」に個性を感じます。伊予灘いりこと岩手県産の昆布でとられたやさしい味わいの出汁は、ミシュランの五つ星以上!(というのが番組取材スタッフの素直な感想・笑) うどんのメニューは2つ、「鍋焼きうどん」と「鍋焼き玉子うどん」。初めて訪れたら迷わず「鍋焼きうどん」にしましょう。4代目の娘さんがこう教えてくれました。「初めてなら、鍋焼きうどんをぜひ。お出汁の味わいをそのまま感じていただけますから」。そう、玉子入りにひかれますが、最初は出汁とスープの味わいをそのまま感じる「鍋焼きうどん」!(再訪時はぜひ玉子入りで……)
「アサヒ」
愛媛県松山市湊町3-10-11。
営業時間は10:00〜17:00(売り切れ次第閉店だそうです)で、定休日は水曜日。
うどん完食後、
「アサヒ」のすぐ隣にコーヒーのお店を発見……
コーヒーとバルザックを愛する合田浩司さんが、生豆から自分で焙煎(ロースト)しているコーヒー店「セラヴィ」。コーヒー豆やコーヒー粉を買い求めに訪れる地元の人が大勢いますが、中で淹れたてのコーヒーをいただくこともできます。
「珈琲店セラヴィ」愛媛県松山市湊町3-10-3。
道後公園にある「松山市立 子規記念博物館」へ行きました。
松山は、正岡子規の町です。
「松山市立 子規記念博物館」
正岡子規は1867年10月14日に伊予国温泉郡藤原新町(現在の愛媛県松山市花園町)に生まれ、1902年9月19日、34歳の若さでこの世を去りました。俳人、歌人であり、作家、国語学研究科。俳句、短歌、新体詩、小説、評論、随筆など、多方面にわたって創作活動をおこなった正岡子規は、文学の町と呼ばれる松山市を代表する文学者であり、明治時代を代表する文学者のひとりです。野球をこよなく愛した人としても有名です。
夏目漱石と、正岡子規。同じ年に別々の場所に生まれ、育った2人。28歳の年に、2人の人生は四国 松山で交差します。松山は、作家、夏目漱石の名作『坊っちゃん』の町。そして、俳人、歌人の正岡子規が生まれ育った場所。漱石は、1895年、中学校の英語教員の仕事のため、松山へとやって来ました。そして、その年の秋に、漱石は、故郷に戻った正岡子規と、52日間の共同生活を送り、俳句にのめり込んでいきました。もともと2人は知り合いでした。東京生まれで、松山の田舎暮らしにうんざりしていた漱石にとって、松山での子規との再会、そして俳句作りが、大きな刺激になったといいます。
「子規記念博物館」の竹田美喜館長にお話をうかがいました。子規のこと、そして夏目漱石と子規との再会と2人の友情について、興味深いお話をたくさん聞かせてくださいました。
竹田館長、ありがとうございました!
1948年、山口県生まれ。1971年、NHKにアナウンサーとして入局。大阪勤務、その後東京NHK放送センター・アナウンス室に。主婦や働く女性を対象とした番組、美術番組、旅番組、ニュース、ナレーション多数を担当。2005年、女性として初のNHKアナウンス室長に。2007年、NHKを定年退職。LLP「ことばの杜」設立。2013年「ことばの杜」解散後、地域作りと言葉教育を組み合わせた独自の活動を続けている。東京大学客員教授、女子美術大学特別招聘教授歴任。学校法人桑沢学園理事。学校法人順心広尾学園理事。公益財団法人文字・活字文化推進機構評議委員。シチズン・オブ・ザ・イヤー選考委員会委員長。「感じる漢字」「ことばで『私』を育てる」ほか、著書多数。TOKYO FM「感じて、漢字の世界」JFN全国38局ネットで放送中。
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