- 今月の旅人
- 山根基世(『NAGOMI Setouchi』案内人。
元NHKアナウンサー)
元NHKアナウンサー)
『NAGOMI Setouchi』スタート時より、番組の案内人を務めている山根基世さんが、今月の旅人。瀬戸内生まれ、育ちの山根さんが、愛媛県道後をベースに、松山、しまなみ海道を旅していきます。その旅の背景にあるのは、種田山頭火。九州に生まれ育った山頭火は、晩年を松山で過ごし、その地で没しています。
もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」。
『NAGOMI Setouchi』スタート時より、番組の案内人を務めている山根基世さんが、今月の旅人。瀬戸内生まれ、育ちの山根さんが、愛媛県道後をベースに、松山、しまなみ海道を旅していきます。その旅の背景にあるのは、種田山頭火。九州に生まれ育った山頭火は、晩年を松山で過ごし、その地で没しています。
旅の最初は、しまなみ海道。朝早く、道後温泉の宿を出発した山根基世さん。しまなみ海道の基点となる今治まで、ひと山越える朝のドライブ。その途中で、とても美しい風景に出逢いました。
小さな橋の上を通ると、朝陽を浴びて輝く森と、水面に映り込むその景色。思わず車を停めて、その橋の上に立った山根基世さん。「天気がいいと、もうそれだけで気持ちいいわね!」と上機嫌。「朝から、とっても美しいものを見せてもらいました」
そして、しまなみ海道へ。めざすのは、大三島です。
大三島で最初に訪れたのは、「ところミュージアム大三島」。「キッシング・ドア(Kissing Doors)」と名づけられたノエ・カッツ2003年の作品が、ミュージアムのエントランスです。かつて美術の番組も担当し、アートの評論家としても活動する山根さんは、あらゆるアート、芸術を愛する女性。瀬戸内の風の中にある半屋外の「ところミュージアム大三島」を、たっぷり楽しみました。
島の丘の傾斜を利用して建造されたミュージアムは、外に向かって開かれ、「外と中を行ったり来たり」しながら、彫刻作品を楽しめるミュージアム。独特のミュージアムです。
大三島にはいくつもの魅力的なミュージアムがあります。瀬戸内の海に面して開かれたこの「ところミュージアム大三島」はそのひとつ。ほかに、現代日本画のミュージアム「今治市大三島美術館」。世界的に活躍した建築家、丹下健三氏が生まれた今治市、その大三島に想いを込めて建築家の伊東豊雄氏が作った「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」は、今治に、そして大三島という個性あふれる美しい島に暮らす人々の日々や営み、またこの場所へ移住したいと考えている人たちへのメッセージも込められた、大三島ならではのミュージアム。もし大三島を訪れたら、それぞれのミュージアムを(瀬戸内の島々をアイランド・ホッピングするように)ぜひ巡ってみてください。
「ところミュージアム大三島」
「今治市大三島美術館」
「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」
美しい海辺を見つけました。
「この海が、わたしの海なの」と山根基世さん。海辺に出たとたんに、子供のようにはしゃぎながら水際へ小走りに向かいました。「子供の頃から、瀬戸内のこんな海で泳いで、潜って、水辺で遊んで育ってきた。これがわたしの海。わたしのDNAの中に刻まれているような、知っている海なの」
山根基世さんが訪れた冬のはじめ頃、島には、みかん、デコポン、文旦、レモン……、数多の果実が実っていました。
遅めのランチは、人気の行列店「大漁」にて。
午後2時を回っていたので、行列はなくなっていました。
海鮮丼。美味、そして、見かけよりもずっとボリュームあり。(写真で見ると小さな丼に見えるのですが……実際に食べ始めると、酢飯と上のネタの量に驚くはず。そう、ご飯は酢飯です)
でも、漁師さんのこの店には、他にも食べたくなるものがいっぱい。こんな感じでおばんざい風に並んでいます。好きなものを好きなだけとって、後で精算する方式。
というわけで、あれこれたくさん食べてしまいました……
「大漁」の向かい側にある、大山祇神社へ。
門の向こうに、ご神木がありました。
1948年、山口県生まれ。1971年、NHKにアナウンサーとして入局。大阪勤務、その後東京NHK放送センター・アナウンス室に。主婦や働く女性を対象とした番組、美術番組、旅番組、ニュース、ナレーション多数を担当。2005年、女性として初のNHKアナウンス室長に。2007年、NHKを定年退職。LLP「ことばの杜」設立。2013年「ことばの杜」解散後、地域作りと言葉教育を組み合わせた独自の活動を続けている。東京大学客員教授、女子美術大学特別招聘教授歴任。学校法人桑沢学園理事。学校法人順心広尾学園理事。公益財団法人文字・活字文化推進機構評議委員。シチズン・オブ・ザ・イヤー選考委員会委員長。「感じる漢字」「ことばで『私』を育てる」ほか、著書多数。TOKYO FM「感じて、漢字の世界」JFN全国38局ネットで放送中。
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