- 2017
- 12/30
世界的マエストロ、指揮者・井上道義の小豆島紀行
「マエストロ感動!有機栽培でオリーブを育てる闘い」05
もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」。
- 今月の旅人
- 井上道義(指揮者)
世界的マエストロ、指揮者・井上道義さんにとって、初めての小豆島。今回の旅の目的は、いくつかありますが、その最大のミッションは、島の小学生に音楽を教えること。小説「二十四の瞳」の作者・壺井栄の故郷、そしてオリーブとそうめん、醤油や佃煮の島。この島には、他に類をみない小学生オーケストラがあるのです。70年の歴史を持つ、この小さなオーケストラに、70歳のマエストロが特別レッスンを授けます。この島で、井上さんは何を感じ、島のひとたちは、マエストロからどんなプレゼントを受け取るのでしょうか。
国内初の有機JAS農園に認定された山田オリーブ園。それまで不可能だと言われていたオリーブの有機栽培に果敢に挑戦した園主・山田典章さんの心意気に、井上道義さんは、興味を持ちました。マエストロも、指揮者として常に挑戦し続けている。そして、マエストロは、庭仕事、土いじりが大好き。山田さんが、出迎えてくれました。
山田さんのオリーブ園には、およそ600本のオリーブの木が植えられています。特長は、個体ごとに大きさや成長の仕方が違うこと。それらの木をまとめるのは、オーケストラの指揮者に似ています。
東京でサラリーマンをしていた山田さんは、
奥様の故郷、小豆島に移住しました。
オリーブアナアキゾウムシは、木の根元から木を枯らしてしまう。
場所を移し、オリーブ園から、オリーブオイルを採取する搾油場へ!
マエストロが、さまざまなオイルをご賞味。
山田家の定番、オリーブのしらすごはんを、
山田さんの奥様のいづみさんがふるまいます。
「美味しい!これは、ゼッタイ、自宅でやってみます」
とマエストロ。
旅人プロフィール
井上道義
1946年東京生まれ。桐朋学園大学にて齋藤秀雄氏に師事。1971年ミラノ・スカラ座主催グィド・カンテルリ指揮者コンクールに優勝して以来、一躍注目を集める。以来、国内外でめざましい活躍を続けている。“クラシック界の異端児”との呼び名を持ち、古典から近現代までカバーする幅広いレパートリー、ジャズとのコラボ、野田秀樹とタッグを組んだ「フィガロの結婚」など既成概念にとらわれない企画性は、クラシック界に強いインパクトを与え続けている。
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