- 2017
- 08/05
バンドネオン奏者・小松亮太の瀬戸内紀行
「小豆島、サウダージの旅。バンドネオンをつれて」01
もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」。
朝9時25分発のJAL477便で高松空港へ。東京から小豆島へ行くなら、JALのフライトで香川県高松空港から入るのが便利。空港から高松港へ移動すれば、小豆島行きのフェリーは頻繁に出航している。
- 今月の旅人
- 小松亮太(バンドネオン奏者)
バンドネオン奏者の小松亮太さんが、香川県の島、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島へ旅をします。壺井栄の小説『二十四の瞳』、その映画の舞台となった海辺の校舎の教室で、緑の稲穂が揺れる棚田を見渡す神社の庭で、瀬戸内の静かな青く輝く海を見渡す浜辺で、小松亮太さんはサウダージの調べを奏でます。島人たちに出逢い、言葉を交わし、島の伝統に触れ、その香りと味に感動して……。小松亮太さんがバンドネオンをつれて、島を旅します。
高松港からフェリーに乗って、小豆島まではおよそ1時間の船旅。小豆島にはいくつか港があります。今回、小松亮太さんが乗った船は11時10分発の「こくさい丸」。小豆島の池田港に到着します。天気もよく、風は心地よく、最高の船旅になりました。
湖のように静かに感じる瀬戸内海。その碧い水面を進む、小豆島への船。
2008年に栽培100周年を迎えた小豆島のオリーブ。オリーブの葉は、島のシンボルのひとつ。船にも、オリーブの葉が。
こんなレインボーカラーの船もいます。出航時刻ではなく、船(のデザイン)で選んだら、旅がさらに楽しくなりそう?
小豆島と言えば・・・素麺! 高松や丸亀と言えばうどんですが、同じ香川県でも小豆島では、麺と言えば、素麺です。「素麺大好き!」という小松亮太さんが取材で訪れたのは、「小豆島 手延べ素麺 作兵衛」。自社工場で素麺作りをしています。「作兵衛」マネージャー、素麺作りウン十年のおかみさん、高橋恵子さん(写真中央)が、小豆島の素麺について、「作兵衛」こだわりの手延べ素麺について、お話を聞かせてくれました。
400年以上の歴史を持つ、「小豆島 手延べ素麺 作兵衛」。16もの工程を経て、何度も熟成させ、もとの長さのおよそ1万倍に引き延ばすことによって生まれるという、独特の「つるり感」、「もっちり感」、そして、「するするっとしたのど越し」。取材が終わると、時間はちょうどお昼過ぎ。小松亮太さん、美味なる素麺に、舌鼓を打ちました。
夕暮れどき。小豆島のほぼ中央付近にある、中山農村。小さな集落と、農歌舞伎の舞台、神社がありました。
そこからさらに山の上の方へと車を走らせると、美しい棚田、ライステラスが、夕陽を浴びて輝いていました。
ライステラスを背景に、小松亮太さんはバンドネオンを奏でました。小豆島、棚田の山にサウダージの調べが響きました。
小豆島では今年も、「島フェス」が開催されます!
『shima fes SETOUCHI 2017 ~百年つづく、海の上の音楽祭。~』
8月26日(土)、27日(日)
チケット情報や内容については、こちらを!
オフィシャルサイト http://shimafes.jp
旅人プロフィール
小松亮太
1973年 東京生まれ。
1998年、ソニーミュージックよりCDデビューを果たして以来、国内はもとより、カーネギーホールやタンゴの本場ブエノスアイレスなどで、タンゴ界における記念碑的な公演を実現している。アルバムもすでに20枚以上を制作。「ライブ・イン・TOKYO~2002」がアルゼンチンで高く評価され、03年にはアルゼンチン音楽家組合(AADI)、ブエノスアイレス市音楽文化管理局から表彰された(授与者はレオポルド・フェデリコとカルロス・ガルシーア)。08年にはアストル・ピアソラの幻のオラトリオ「若き民衆」を東京オペラシティで日本初演。13年にはピアソラの「ブエノスアイレスのマリア」をピアソラ元夫人の歌手アメリータ・バルタールと共演し、ライブアルバムをリリース。
タンゴ界にとどまらず、ソニーのコンピレーション・アルバム「image」と、同ライブツアー「live image」には初回から参加。作曲活動も旺盛で、フジテレビ系アニメ『モノノ怪』OP曲「下弦の月」、TBS系列『THE世界遺産』OP曲「風の詩」、映画「グスコーブドリの伝記」(ワーナーブラザース配給・手塚プロダクション制作)、「体脂肪計タニタの社員食堂」(角川映画)、NHKドラマ「ご縁ハンター」のサウンドトラックなど多数を手掛けている。
これまでのタンゴ界以外での共演者は、ミッシェル・ルグラン、バホフォンド、イジョク(Juck Lee)、ジェイク・シマブクロ、ブロドスキー・カルテット、ミルバ、上妻宏光、石井一孝、NHK交響楽団、小曽根真、織田哲郎、佐渡裕、葉加瀬太郎、宮沢和史など。タンゴ界ではビクトル・ラバジェン、ラウル・ラビエ、マリア・グラーニャ、オスバルド・ベリンジェリ、フアン・カルロス・コーペス、藤沢嵐子など。
15年にリリースした大貫妙子との共同名義アルバム『Tint』は、第57回 輝く!日本レコード大賞「優秀アルバム賞」を受賞した。
16年12月「小松亮太 meets ワールド・バンドネオンプレイヤーズ」開催、17年7月にイ・ムジチ合奏団と共演するなど海外アーティストとの公演も重ねている。
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