- 今月の旅人
- ロバート キャンベル(日本文学研究者)
日本在住歴30年以上。日本をこよなく愛するキャンベルさんが今週訪ねるのは、宮島の原始林、弥山。厳島神社を抱える神の山は、史跡や巨岩が点在する究極のパワースポットです。
もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」。
日本在住歴30年以上。日本をこよなく愛するキャンベルさんが今週訪ねるのは、宮島の原始林、弥山。厳島神社を抱える神の山は、史跡や巨岩が点在する究極のパワースポットです。
弥山は太古より植物と動物が共生と淘汰を繰り返してきた原始の森。
806年に弘法大師空海が開基したとされる祈りの山でもあります。
まずは2基のロープウェイを乗り継いで、登山口へ。
宮島公認ガイド、佐藤庸夫さんの案内で登山スタート。木漏れ日のトンネル。
弥山本堂と霊火堂が見えてきました。
1200年以上、消えることなく灯り続けてきた「消えずの霊火」。
広島平和記念公園の「平和の灯」もここから採火されました。
頂上に近づくにしたがって、巨岩が増えていきます。
弥山の頂上は標高535メートル。360度の眺望が広がります。
山頂の景色を満喫したら、山を下ります。
登山道にはこうした小さな祠があちこちに。
たくさん歩いたら、お腹がすきました!
宮島口から岩国へは電車に乗って。旅のあれこれを思い起こしながら、心地よい揺れに身体をゆだねて。
日本文学研究者。国文学研究資料館長。
近世・近代日本文学が専門で、とくに19世紀(江戸後期~明治前半)の漢文学と、漢文学と関連の深い文芸ジャンル、芸術、メディア、思想などに関心を寄せている。テレビでMCやニュース・コメンテーター等をつとめる一方、新聞雑誌連載、書評、ラジオ番組企画・出演など、さまざまなメディアで活躍中。
ニューヨーク市生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業(B.A. 1981年)。ハーバード大学大学院東アジア言語文化学科博士課程修了、文学博士(M.A. 1984, Ph.D. 1992年)。
1985年に九州大学文学部研究生として来日。同学部専任講師(1987年、国語国文学研究室)、国立・国文学研究資料館助教授(1995年)を経て、2000年に東京大学大学院総合文化研究科助教授に就任(比較文学比較文化コース〔大学院〕、学際日本文化論〔教養学部後期課程〕、国文・漢文学部会(同学部前期課程)担当)。2007から同研究科教授。2017年4月から現職。
オフィシャルサイト