- 今月の旅人
- ロバート キャンベル(日本文学研究者)
日本在住歴30年以上。日本をこよなく愛するキャンベルさんが今週訪ねるのは、広島県の宮島。
歴史と文化、自然と宗教が調和する美しい島です。
もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」。
日本在住歴30年以上。日本をこよなく愛するキャンベルさんが今週訪ねるのは、広島県の宮島。
歴史と文化、自然と宗教が調和する美しい島です。
まずは宮島名物「穴子丼」で腹ごしらえ。
厳島神社の表参道にある食事処「たち花」で。
厳島神社の表参道をぶらり。宮島名物、杓子が並びます。
創建593年の厳島神社。その後平清盛公によって現在の規模に造営され、1996年には世界文化遺産に登録されました。
代々厳島神社の神官を務める、禰宜の福田道憲さん。子どものころからここが遊び場でした。
大鳥居を背に立つ厳島神社の能舞台。秋の観月能では水面の水灯りが舞台を幻想的に照らします。
宮島の一日を振り返って、一句。
「穴子めし宮は永久に夏の月」
来週7/29はキャンベルさんが宮島の原始林「弥山」を歩きます。1200年以上燃え続けている「消えずの霊火」は「あの灯」の種火でもあります。答えは来週の番組で。
日本文学研究者。国文学研究資料館長。
近世・近代日本文学が専門で、とくに19世紀(江戸後期~明治前半)の漢文学と、漢文学と関連の深い文芸ジャンル、芸術、メディア、思想などに関心を寄せている。テレビでMCやニュース・コメンテーター等をつとめる一方、新聞雑誌連載、書評、ラジオ番組企画・出演など、さまざまなメディアで活躍中。
ニューヨーク市生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業(B.A. 1981年)。ハーバード大学大学院東アジア言語文化学科博士課程修了、文学博士(M.A. 1984, Ph.D. 1992年)。
1985年に九州大学文学部研究生として来日。同学部専任講師(1987年、国語国文学研究室)、国立・国文学研究資料館助教授(1995年)を経て、2000年に東京大学大学院総合文化研究科助教授に就任(比較文学比較文化コース〔大学院〕、学際日本文化論〔教養学部後期課程〕、国文・漢文学部会(同学部前期課程)担当)。2007から同研究科教授。2017年4月から現職。
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