yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

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第486話 さすらい続ける
-【石川県にまつわるレジェンド篇】作曲家 フランツ・ペーター・シューベルト-

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©robertharding/Alamy/amanaimages 能登半島地震・復興応援コンサートで演奏された『アヴェ・マリア』で有名な作曲家がいます。 フランツ・ペーター・シューベルト。 「シューベルトのアヴェ・マリア」とも呼ばれるこの歌曲の原題は、『エレンの歌第3番』。 ウォルター・スコットの叙事詩『湖上の麗人』に、曲付けされたものです。 歌い出しがアヴェ・マリアであることから、教会でも多く歌われるようになり、いつしか宗教曲として認知されるようになりました。 シューベルトの歌曲には、私たちがよく知っている、耳なじみのあるものがたくさんあります。 『野ばら』『魔王』『セレナーデ』。 ピアノ曲、交響曲も、そのせつなくも美しいメロディが、時代や国境を越えて、心に沁みていきます。 モーツァルトと並び称されるほどの天才作曲家・シューベルトの楽曲の特徴は、幾度となく繰り返される転調にあります。 まるで目の前に天国が見えるような明るい曲に、忍び寄る暗い影。 そしてまた、黒雲にひとすじの光が射すように、曲調が変化していくのです。 わずか31年の彼の生涯は、病と失恋、貧しさや挫折の連続でした。 彼は一度も定まった土地、家に暮らすことはなく、一生、友人や父の家に居候し、独身のまま、この世を去りました。 多くの友人に恵まれ、経済的な援助を受けた一方、稼いだお金はすぐに知人に貸してしまい、時には手ひどく裏切られもしました。 そんな彼にとって唯一大切だったのは、作曲すること。 誰と一緒にいても、どこを歩いていても、頭の中にメロディが浮かぶと、所かまわず、音符を書き連ねたといいます。 シューベルトをモデルにした映画『未完成交響楽』でのワンシーン。 教師をしていたシューベルトは、ある授業中、急に『野ばら』の曲が頭に浮かび、黒板にいきなり楽譜を書いてしまいます。 笑う生徒たち。 しかし、彼が歌い始めると、生徒たちも一緒に合唱するのです。 そこがどんなに幸せで居心地がいい場所であろうと、いい曲のためであれば進んでさすらい、動くことをやめなかった賢人、フランツ・ペーター・シューベルトが人生でつかんだ、明日へのyes!とは? ©Cristina Madalina Dragan/Alamy/amanaimages 作曲家・フランツ・ペーター・シューベルトは、1797年1月31日、オーストリア、ウィーンの郊外で生まれた。 東には、ドナウ川。 城壁の外だったが、ウィーンの区画の中にあった。 祖父は農業と牧畜を営んでいた。 父は向学心にあふれ、教師になった。 住居の一角が、小学校。 近くには教会があり、絶えずオルガン・コンサートが開かれ、石畳の街は音楽であふれていた。 両親には14人の子どもがいたが、多くは幼くして病に倒れ、成人したのはシューベルトを含めて5人だけだった。 幼いころから、兄にピアノを習い、父にヴァイオリンを教わる。 しかし6歳にして、兄や父の手には負えないほど上達した。 父は教会のオルガニスト、ホルツァーに、我が息子をゆだねる。 ある日、ドアを激しくノックする音が響く。 ホルツァーが、シューベルトの父に訴えた。 「なんですか、あなたの息子さん、いったいどこでどんな音楽教育を受けたんですか。 私が教えようとすると、全部できてる。なんでも弾ける。 理論だって作曲だって、できてしまうんです。 私もう教えることなんてありませんよ!」 数多くの少年少女を育てたホルツァーは、泣いていた。 ©Stefan Rotter/Alamy/amanaimages シューベルトの父は、息子の音楽的な才能が破格であることを知った。 生活費を切り詰め、宮廷楽長のサリエリに指導をお願いする。 シューベルト11歳の時、千載一遇の良い知らせが届く。 ウィーン音楽界への登竜門、宮廷礼拝堂聖歌隊に欠員が出た。 ここに入れば、国立の音楽院、コンヴィクト入学への機会を得る。 シューベルトは、なんなく試験をパス。 徹底的な音楽教育を受ける寄宿制の学校、コンヴィクトに入った。 団体行動ができないシューベルト少年にとって、寄宿生活は、牢獄だった。 ただ、音楽の基礎が学べたこと、学費が只だったこと、そして生涯を共にする友人、シュパウンとの出会いがあった。 シュパウンは、貧しいシューベルトのために、いつも五線譜を用意していた。 シューベルトが、ふとメロディを思い付くと、シュパウンは、さっとバッグから五線譜とペンを取り出す。 そこに踊る音符に、シュパウンは魅了された。 「シューベルトくん、ボクはね、もう、自分が有名になるとか、そういうのを考えるのやめたよ。 だって、君に会ってしまったら、ボクなんかが曲をつくる意味はない。ずっと応援するよ、君を」 その言葉どおり、シュパウンは、最後まで彼を支え続けた。 厳しい束縛の中にあった、シューベルトの寄宿生活。 そんな中、15歳の時、母が他界。 変声期を迎え、聖歌隊を除籍。 さらには数学で落第点をとり、学校にいづらくなった。 音楽の才能を認めていた学校側は、それでも進級させようとしたが、シューベルトは断った。 「ありがとうございます。 でも、ボクには数学や歴史を学ぶ時間がもったいない。 音楽、そう、作曲がしたいんです」 寮生活から解き放たれた、シューベルト。 天国だった。 一日中、音楽のことだけを考えていい生活。 うれしかった。 ただ、父は、我が息子の将来を案じ、自分の学校で教師をやらせる。 でも、まったく教えることに身が入らない。 気がつけば、メロディを五線譜に書いていた。 彼はもう、束縛の中に入るのが嫌だった。 一生、さすらう覚悟。 音楽のために、生きる。 全世界は、自分の脳の中に、心の中に広がっている。 シューベルトは、もはや、孤独ではなかった。 「あなたは、幸福は一度幸せになった場所から生まれると信じていますが、実際にはそれは私たち自身の中にあります」 フランツ・ペーター・シューベルト 【ON AIR LIST】 ◆野ばら / シューベルト(作曲)、ウィーン少年合唱団 ◆魔王 / シューベルト(作曲)、友竹正則(歌) ◆セレナーデ(『白鳥の歌』より) / シューベルト(作曲)、ウラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ) ◆アヴェ・マリア / シューベルト(作曲)、ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)、ボローニャ歌劇場管弦楽団、レオーネ・マジエラ(指揮)
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RECIPE

レシピ

霜降りひらたけと白身魚のポットパイスープ

今回は、日ごとに寒さが増す今の時期や特別な日にもおすすめの、こちらの料理をご紹介します。

材料 (2人分)
  • 霜降りひらたけ 1パック
  • じゃがいも 1個
  • にんじん 1/2個
  • 玉ねぎ 1/2個
  • にんにく 1片
  • 白身魚切身 60g
  • 塩こしょう 適量
  • オリーブオイル 大さじ1
  • 水 150ml
  • ハーブソルト 小さじ1/2
  • 牛乳 150ml
  • 冷凍パイシート 7cm×7cm 2枚
  • 溶き卵 1個分
写真 カロリー / 334kcal(1人分)
調理時間 / 40分
使用したきのこ / 霜降りひらたけ
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは小房にほぐし、半分は薄切りにする。じゃがいもとにんじんは皮をむいて、一口大に切る。玉ねぎは薄切りにし、にんにくはみじん切りにする。
  • 2.
  • 白身魚は両面に塩こしょうを振り、ペーパータオルで水気をふき取る。
  • 3.
  • 鍋にオリーブオイルを熱し、玉ねぎを加え、全体が薄くあめ色になるまで炒め、薄切りにした霜降りひらたけとにんにくを入れ、全体がしんなりするまで一緒に炒め合わせる。
  • 4.
  • (3)に水、ハーブソルト、にんじんを加え、中火で7分ほど煮て、さらにじゃがいもと牛乳を加え、10分ほど煮る。
  • 5.
  • (3)をカップに盛り、(2)を上に乗せ、カップに冷凍パイシートをかぶせ、ふちの部分をフォークで抑える。
  • 6.
  • 溶き卵を塗り、220℃に温めたオーブンで15分ほど焼く。

yesとは?

番組概要

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』今週あなたは、自分を褒めてあげましたか? 古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。あなたの「yes!」のために。

語り:長塚圭史 脚本:北阪 昌人 ▸ Profile

放送時間
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29
  • TOKYO FM…SAT 18:00-18:30
  • FM大阪…SAT 18:30-19:00
  • FM長野…SAT 18:30-19:00
  • FM軽井沢…SAT 18:00-18:29
長塚 圭史

PROFILE

長塚 圭史
語り: 長塚 圭史
1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。 また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。
北阪 昌人
脚本: 北阪 昌人
1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。 TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドラマ脚本多数。 『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、『ラジオドラマ脚本入門』連載中。 主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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