yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

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ストーリー

第479話 天地の理を知る
-【群馬県にまつわるレジェンド篇】キリスト教思想家 内村鑑三-

Podcast 

明治時代、欧米化の波にのまれそうになる日本人に、いかに生きるべきかを示した思想家のレジェンドがいます。 内村鑑三(うちむら・かんぞう)。 その名は聞いたことがあっても、いったい何をした人なのか、どんな思想を持っていたのか、明確に答えられる人は、案外、少ないのかもしれません。 それもそのはず、内村の生き方、思想は、混乱、混迷の連続。 札幌農学校時代に、キリスト教の洗礼を受けますが、アメリカに留学した際、キリスト教の在り方に疑問を持ち、反感を買う。 愛国心が人一倍ありながら、教育勅語の前で最敬礼をしなかったことが、社会的な大事件に発展。 どこにいても敵をつくり、どんな組織に入っても周りと齟齬(そご)を深め、退職、辞任、解雇。 転がる石のごとく、流され、ぶつかり、ひとつの場所に留まることができない、70年あまりの生涯でした。 群馬県の高崎藩士の息子として生まれた彼は、少年時代の一時を高崎で過ごします。 自然豊かな森や山、そして川。 特に渓流に足をつけ、川魚を見るのが好きでした。 素早く動く、美しい魚たち。 ある法則性がありそうで、自由で、シンプル。 内村少年は、そこで初めて、命がどこから来て、どこへ去っていくのか、想いを巡らせます。 数々の試練を経て、彼が思い至った結論は、「天地の理(ことわり)」と共に生きるということ。 ひとは、自分の価値観で生きる。 しかし、ともすれば自らの価値観にがんじがらめになって、身動きがとれなくなる。 そんなとき、視点をふわっと宙に放ち、天に預ける。 人間には誰しも、天が定めた仕事がある。 それを全うすること。 それこそ、命をいただいたことに対する恩返しではないか。 内村は、その考えを、二つのJから学んだのです。 ひとつが、ジーザス、キリストのJ。 もうひとつが、JAPAN、ニッポンのJ。 批判、非難、誹謗中傷の嵐の中、天命を全うした賢人、内村鑑三が人生でつかんだ、明日へのyes!とは? キリスト教思想家、内村鑑三は、1861年、高崎藩士の長男として江戸・小石川の武家屋敷に生まれた。 名前の由来は、三度自分を鑑みるべし。 父は、自分に厳しく、真面目。 学問を愛し、己の美学に反することはしなかった。 そのせいで周りと合わず、江戸から追い出されてしまう。 鑑三が小学校にあがる頃、郷里・高崎に戻る。 でも、多感な少年時代を自然豊かな高崎で過ごしたことが、のちの内村鑑三を造り上げる大切な骨格を育む。 森の中に生きる、さまざまな植物たち。 ささやかに芽吹きながら己の一生を生き抜く。 川を泳ぐ魚を見るのが、好きだった。 大人になって、彼は川魚について、こんな言葉を記した。 「彼らは余を造化の霊殿に導けり。彼らを通して余は余の造化の神に詣れり」 つくるにばけると書く「造化」とは、天地万物を創るもの。 内村は、魚を見て、初めて命について考えた。 彼らがこの世に生まれてきた意味と、自分がこの世に生まれてきた意味に、差などあるだろうか。 同じように、天に導かれて、ここにいる。 ならばせめて、ここにいる間にすべきことをしようではないか。 自然界は、どんな書物より雄弁だった。 自分の気づきに答えるかのように、ピシャン!魚が、川面に跳ねた。 内村鑑三の波乱に満ちた人生の岐路は、なぜか、ネガティブな出来事、普通に考えれば良くない事件とともにある。 江戸小石川の高崎藩邸で幼少期を過ごせれば、学問の環境は整い、新政府の要職につくのは想像に難くない。 しかし、父の失脚で郷里に移転。 自然に触れあう貴重な時間を得た。 その後も、東京英語学校から東京大学への進学は間違いなかったが、家計を助けるため、特待生として官費で通える、札幌農学校に入学。 「青年よ 大志を抱け」で知られるクラーク教頭に出会い、キリスト教に魅かれるようになる。 勉学に燃えたのもつかの間、病に倒れ、留年。 しかし、ひとつ下のクラスにいたのが、新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)と、後に植物学者になる宮部金吾(みやべ・きんご)。 二人と意気投合し、生涯の友となった。 新渡戸と宮部の勧めがなければ、内村は、キリスト教の洗礼を受けなかっただろう。 エポックとなる出来事は、基本、良くないこと。 でも、内村は、それをあえて素直に受け入れることで、風向きが変わった。 内村鑑三の名著に、『代表的日本人』がある。 岡倉天心『茶の本』、新渡戸稲造『武士道』と並び、日本の文化や思想を欧米社会に英語で紹介した著作。 内村が取り上げた世界に誇る日本人とは、西郷隆盛、上杉鷹山(うえすぎ・ようざん)、二宮尊徳、中江藤樹(なかえ・とうじゅ)、そして、日蓮。 キリスト教思想家でありながら、最後に日蓮を選んだところに、内村の精神性が垣間見られる。 既存の宗派に属さず、歯に衣着せぬもの言いで、二度も流刑を受けた日蓮。 決してバランスのとれた生き方をしなかった日蓮に、内村は自らを重ねた。 そして、誠実、正直、勇敢、日蓮の魂に宿る、この3つこそ、大切であると説いた。 思えば、ネガティブな出来事に翻弄されるとき、彼の心には、ブレない信条があった。 それは、天地の理を知りたいという思い。 たった50年、60年の人生で、この命が終わるはずがない。 未来につながる意味があるはずだ。 その意味は、目の前の利害や自尊心にまみれていては、永遠につかめない。 だから内村鑑三は思った。 ピンチのときこそ、天地の理を知るチャンス。 心を静かに天に放てば、必ず答えは降りてくる。 【ON AIR LIST】 ◆LET IT GO, LET IT FLOW / Dave Mason ◆山は緑 / 小坂忠 ◆あなたへの手紙 / スガシカオ
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RECIPE

レシピ

霜降りひらたけと鶏胸肉のオイスターソース炒め

今回は、内村鑑三ゆかりの地、群馬県高崎市で多く生産されている野菜、チンゲン菜を使った料理をご紹介します。

材料 (2人分)
  • 霜降りひらたけ 1パック
  • 鶏むね肉 100g
  • 【A】塩 少々
  • 【A】こしょう 少々
  • 【A】酒 大さじ1/2
  • 片栗粉 小さじ2
  • チンゲン菜 1株
  • 長ねぎ(輪切り薄切り) 1/4本
  • しょうが(薄切り) 少々
  • 卵 1個
  • 塩 適量
  • グレープシードオイル(サラダ油でも可) 適量
  • ≪合わせ調味料≫
  • オイスターソース 大さじ1
  • 酒 大さじ1
  • 砂糖 小さじ2
  • しょう油 小さじ1
  • こしょう 少々
  • 片栗粉 小さじ3
写真 カロリー / 236kcal(1人分)
調理時間 / 15分
使用したきのこ / 霜降りひらたけ
作り方
  • 1.
  • 鶏肉をそぎ切りにし、【A】で揉んだら片栗粉を加えてあえる。
  • 2.
  • (1)、小房にほぐした霜降りひらたけ、食べやすい大きさに切ったチンゲン菜を、1Lに対して塩小さじ1/2(分量外)を入れたお湯に入れて1分ほどゆで、ザルに上げて湯を切る。
  • 3.
  • グレープシードオイルを引いたフライパンで、ねぎとしょうがを弱火で炒め、香りが出たら卵を入れて炒める。(2)を入れ、合わせ調味料を加えて絡めたら皿に盛る。

yesとは?

番組概要

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』今週あなたは、自分を褒めてあげましたか? 古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。あなたの「yes!」のために。

語り:長塚圭史 脚本:北阪 昌人 ▸ Profile

放送時間
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29
  • TOKYO FM…SAT 18:00-18:30
  • FM大阪…SAT 18:30-19:00
  • FM長野…SAT 18:30-19:00
  • FM軽井沢…SAT 18:00-18:29
長塚 圭史

PROFILE

長塚 圭史
語り: 長塚 圭史
1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。 また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。
北阪 昌人
脚本: 北阪 昌人
1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。 TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドラマ脚本多数。 『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、『ラジオドラマ脚本入門』連載中。 主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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