石丸:町田啓太さん、今週もどうぞよろしくお願いいたします。このサロンでは、人生で大切にしている“もの”や“場所”をお伺いしております。さあ、今日はどんなお話を聞かせてもらえますか。
町田:「メモを取ること」についてです。
石丸:どんなことをどんな時に(メモを)取ります?
町田: “思い立ったらメモをする”という風にしているんです。例えば、今やっている作品や役柄のことで、“このキャラクターならこういうことも、この作品ではアリかな”とか、“あのシーンはこういうことかな”とか、新しい気付きがあったりしたら、すぐにメモを取ったりとか。
石丸:一瞬のうちに思うことって忘れちゃうもんね。
町田:そうなんですよ。“あれ、何だっけ”って、後で思い出せなくてすごく苦しんだりすることもあって、メモを取るようになりました。
石丸:なるほどね。じゃあ、その瞬間的な発想を文字に残していくということですか。
町田:はい。あとは、役柄とか作品だけじゃなくて、ゆくゆくは自分で何かものづくりとかを出来たら良いなと思っているので、そういう時のためのメモを沢山残しています。
石丸:素敵だね。何をやりたいの?
町田:まだまだブラッシュアップ中なので全然なんですけれど…本当にいろんなものがありますね。SFみたいなもの(作品)から家族系のもの(作品)であったりとか。
石丸:それは(作品に)出たい方? それとも(作品を)書きたい方?
町田:僕はどちらかというと、“一緒にやりたいな”という方を集めて、一緒にやる。
石丸:プロデューサーだ。
町田:(笑)。プロデュースとか、何かこう一緒に出来るような、大枠を作るようなポジションで。
石丸:なるほど。作っていく側の方ということですね。面白いね。
町田:そうですね。クリエイティブな方をやれたら良いなと思っています。
石丸:例えば、本を愛する人が作品を作ることになってメガホンを持つとかプロデューサーになられると、作品に愛があふれているから、そういう作品に出るのは本当に楽しいよね。
町田:そうですね。“こういう方達だから、こういう作品が出来るんだな”とか、現場に行くと思うことが沢山あるので。
石丸:そうだよね。あるテーマをこだわって書き込んで、それをドラマとして上げてくる熱量。
町田:やっぱり、0(ゼロ)から1を作るというところが一番大変だなと思うので。そこをやれると、今後、俳優活動をしていく中で色んな気付きがあると思うので。
石丸:じゃあ、0(ゼロ)から1に行くためのメモですね。
町田:はい。たくさん取りためて。
石丸:メモは、書いて残して目に焼き付ける人たちと、音声だけ残したり、携帯などへ(文字を)打ちこんで残す人たちがいますが、町田さんはどちら派ですか。
町田:僕は2パターンありまして、書くのと、携帯などに打ちこんで、メモを取りますね。
石丸:書いた時と打ちこんでいる時と何か違いはある?
町田:全然違います。やっぱり、ペンで実際に紙に書いた方がすごく(内容を)覚えていますね。
石丸:そうだよね。台本を覚える時も(派閥が)あるじゃないですか。僕は書く派なんですけど、書いて文字にしてそれを目に焼き付けてイメージする、という、結構時間がかかるタイプなんです。町田君はどうなんだろう?
町田:僕は、台本自体は読みながら。
石丸:スーッと入ってくる?
町田:スーッとは全然入らないんですけど、ブツブツ呪文のように唱えて。
石丸:じゃあ、音で。耳で入ってくるタイプなんだね。
町田:あとは、解釈的なところを(台本の)脇にメモを取ったりするじゃないですか。
石丸:するね。
町田:その時の役柄だったり、そのシーンの気付いたことを書くんですが、それは絶対に手書きですね。
石丸:ということは、いつも台本は(メモで)真っ黒だ。
町田:前まではそうだったんですけど、そうなると(台本が)読みづらくて(笑)。
石丸:分かる、分かる(笑)。そうなんだよね。
町田:なので、メモ帳に移行したという感じですね。
石丸:なるほど、賢いですね。でも、文字に残すということにすごく想いがあったり、書くことによって(記憶に)刻み込むということもあるのかな。
町田:それもありますし、書くことによって、たまに思わぬことを書き始めたりするんです。長く書いていくと、自分の中で整理して考えたことを一言一句漏らさず書いているよりも、勝手にまた…。
石丸:筆が走るんだ。
町田:はい。それが、すごく面白くて。
石丸:面白いね。ぜひ本を書き上げて出版して。
町田:(笑)。やってみます。
石丸:面白いと思うよ。「僕の思いついたこと」みたいな。
町田:それも良いですね。