石丸:町田啓太さん、今週もどうぞよろしくお願いいたします。このサロンでは、4週にわたって人生で大切にしている“もの”や“こと”についてお伺いしてまいりました。最終週は、“時を重ねながら長く大切にしていること”についてお聞きしております。町田さん、それは何でしょう?
町田:「体を動かすこと」です。
石丸:「スポーツをずっとやっていた」とおっしゃっていましたものね。
町田:すごく単純なんですけど、僕にとっては結構大事なことで、体を動かすと“心と体が繋がっているな”という感じがして、すごくリフレッシュ出来て整うんです。
石丸:子供の頃はどんなスポーツをしていましたか。
町田:すごくたくさんやっていました。水泳だったり、剣道だったり、スキー、スケート、スノーボード、バスケット、綱引きみたいなのも(笑)。
石丸:綱引き! それもちゃんとしたスポーツですもんね。
町田:そうなんです。小学生の時に全国優勝しました。
石丸:すごい! 1人じゃ出来ない競技だよね。
町田:そうです。みんなでやるので、人とのつながりやチームワークがすごく大切なスポーツなので楽しかったですね。
石丸:個人プレーのスポーツとチームプレーでするスポーツ、ぶつかりあうようなスポーツとそうでないスポーツ、どのようなスポーツが好きですか。
町田:僕はそれぞれの良さがあると思っていて、水泳とかは自分との戦いじゃないですか。“自分と向き合う”みたいな感じがすごく良いなと思いますし。剣道とか武道は「道」なので、礼儀作法とかの心の部分がすごく良くて、打っても「ありがとう」、打たれても「ありがとう」というところとか。
石丸:そういう礼儀の部分だね。
町田:あとは、すごく集中出来るから良いなと。僕は中学生の頃に野球もやっていたんですが…。
石丸:始球式をしたと聞いたんだけど。
町田:しました!
石丸:どこで、どんな始球式だったんですか?
町田:福岡・PayPayドームで福岡ソフトバンクホークスと埼玉西武ライオンズの試合で、その日は「タカガールデー」のイベントだったんですが、そこで始球式をやらせていただきました。
石丸:元々ピッチャーだったんですか。
町田:自分が(ピッチャーを)「やりたい」と言って、ちょっとだけやらせてもらっていたんですけど、打つ方が好きだったので、本格的には全然やっていなくて。
始球式の前に、大学の友達と草野球を始めていたので、「うおー、(始球式の話が)来た!」と言って、みんなで盛り上って、みんなが仕事の合間をぬって練習に付き合ってくれたんです。
石丸:本当!
町田:僕は軟式野球をやっていたんですが、始球式の時は硬式なんです。
石丸:ボールの大きさとか、重さとかね。
町田:硬さも全然違うので、“練習をしなきゃヤバい!”って、すごく頑張って練習したんですよ。
石丸:本番はどうでした?
町田:本番…練習をし過ぎて肩を痛めまして。
石丸:マジか(笑)。
町田:(笑)。
石丸:とことんやるタイプなんだね。
町田:ちょっと頑張り過ぎました。調子に乗り過ぎたんですけど、その時のキャッチャー、甲斐(拓也)選手が構えたところにちゃんと投げることは出来ました。
石丸:素晴らしい!
町田:あんなにフワッとしたボールだったのに、すっごく良い音を立ててキャッチングしてくださるんですよ。
石丸:パーン!とね。
町田:気持ち良かったですね。
石丸:きっと投げたボールも良かったんだと思いますよ。
町田:いえいえ、本当に光栄でした。本当はもうちょっとズバッといきたかったんですけど。
石丸:肩を壊しながらも投げきった。
町田:投げました(笑)。
石丸:(笑)。やっぱり30代の前半だと一番身体が強くみなぎっている時期じゃないですか。まだまだチャレンジしたいものがあるかもしれないですけど。
町田:たくさんありますね。
石丸:“これだったらやってみたい”と思うものがあれば、教えてください。
町田:これは数年前からいろんなところで言っているんですけれど、「流鏑馬」をやりたくて。
石丸:流鏑馬!? 俳優として馬に乗ることもあるじゃないですか。そういうところから発想したとか、そういうわけじゃなくて?
町田:それもあります。あとは、大学時代にアーチェリーの授業を取っていたことがあって、それもすごく好きだったんですよ。弓はやったことがないんですが、(2つを)合わせてやれたら良いなと思っていまして。いつかそういう役とかでも。
石丸:ね!
町田:僕の想像で1番やりたいのは、浜辺でやりたいんですよね。
石丸:すごい! すごい!
町田:小舟に扇子を立てて…。
石丸:良いですね。
町田:そこを射る、と。
石丸:面白いなあ。
話は変わりますが、町田啓太さんは俳優デビューから約12年半と伺っておりますけども、改めて、俳優という仕事をどんな風に捉えて、また、どんな風に向き合って取り組んでいらっしゃいますか。
町田:個人的には、素晴らしい世界を見れるし見せてもらえる、夢のある素敵な職業だなと思っています。石丸さんもそうですが、先輩方が素敵な作品や素敵なお芝居をされるのを観るのも大好きで。
石丸:現場で人の演技を観るのって面白いよね。
町田:ものすごく面白いです。完成されたものを観るのも好きで、お芝居や作品を観ることによってすごく勉強になるし、すごく刺激を受けて前向きになれるんですよね。
石丸:なるほどね。どちらかというと、趣味でも観ているようなかんじ?
町田:そうですね。
石丸:俳優の中には観ない人もいるんですよ。
町田:聞きますね。
石丸:頭の中のイメージだけでやるという人もいるんですけど、やっぱり(日常生活で)自分の経験していることってそんなに沢山あるわけじゃないじゃないですか。でも俳優って、ビックリするようないろんなシチュエーションのキャラクターのものが来たりね。
これまでにやってきたもので、印象に残っているものはありますか。
町田:それぞれ印象的なんですけど、犯人役というのはすごく難しかったですね。
石丸:どういうところが難しかったですか。
町田:観る人からは嫌悪感であったりマイナスなイメージを強く持たれるかもしれないですけど、僕がやらせてもらうんだったら僕はその人に寄り添いたいし、味方でありたいなと思うので、いろんなことを理解しようと思うんです。けれど、人を殺めたりすることってないじゃないですか。
石丸:そりゃあそうだよね。
町田:本当に想像でしかなくて、絶対に経験したくもないですし、しないから、そこをどう解釈していけば良いのかなと、すごく難しかったなと。その分、やりがいはあったんですけど。
石丸:そういう心理、心情に自分を持っていくのは難しいですよね。
町田:あとは、僕が元々持っていない性質の思考を持っているキャラクターはすごく大変だなと思いました。すごくヤンチャで、言葉遣いも乱暴で…とか。
石丸:そういう役もやることがあったんですね。
町田:俳優のお仕事を始めた時に、そういう役をもらうことが多かったんですよ。
石丸:見た感じでそういう風に思われていたんですかね?
町田:当時、週2回くらい日焼けサロンへ行って。
石丸:(肌が)黒かった?
町田:黒かったですし、髪も茶髪でツイストパーマをかけていたりとか。最初はダンスをやりたかったので…。
石丸:そうだよね。
町田:そのイメージのせいなのか、そういう感じの役がすごく来て。
石丸:自分の本当の中身とは少し違っていた。
町田:普段喋る時はマイペースだったり…小心者なので、割と“丁寧に喋りたいな”と思うタイプなので。(演じる役が)逆だから面白いんですけど。
石丸:自分にないものってそうだよね。
町田:観た時に、無理してる感じが見えないかな、とか。
石丸:ああ、なるほどね。どこかに自分のリアルは置いておきたいからね。
町田:観ている方たちは楽しめているのかなとか思ったりして。
石丸:俳優というのは面白いもので、次の作品で全く違うキャラクターをやると、お客さんが戸惑うわけでしょ。戸惑わせるという意味では面白いと思いません?
町田:面白いですよね。当時はそんなことが分からなかったので。今は二面性のあるキャラクターを演じたいなと思うので、犯人役も二面性が見えるキャラクターだったので、結果としてはすごく楽しい挑戦でした。
石丸:それを“楽しい”と思えるのが良いことですよね。(僕の場合も、)犯人役やフィクサー的な役というのは、自分の経験にないもの、それをどういう風にやったら自分らしさが出るのか、監督は何を望んでいるのかということまで考えると、もう妄想ですよ。
町田:そうですよね。
石丸:この妄想に手助けしてくれるのが、そういうものを得意としている人の映画を観たりとか、演劇を観に行ったりとかでしたね。僕も観ましたよ。『羊たちの沈黙』。
町田:そうですか!
石丸:その人がそうなっている訳ではないけれども、「こういう動きをすればこういう風に見えるんだな」みたいな、フレームの中の技術的なものとか。
町田:そうですね。
石丸:これから俳優として40(歳)、50(歳)になると違うキャラクターがいっぱい来るでしょうから。
町田:楽しみですね。
石丸:楽しみだと思います。ぜひみんなをビックリさせる町田啓太さんでいてください。
町田:頑張ります。
石丸:5週にわたってお話を聞かせてもらいましたが、これからもご活躍くださいませ。
町田:ありがとうございます。