石丸:4週にわたって、人生で大切にしている“もの”、“こと”についてお伺いしてきましたが、 最終週は“時を重ねながら、長く大切にしていきたいこと”についてお聞きします。
それは、何でしょうか?
松之丞:「ランニング」です。
石丸:いつ頃からやってらっしゃるんですか?
松之丞:高校時代からです。
科学的にも頭の回転が速くなったり健康に良いというのはよく言われますけど、
一日一回、朝か夜に、梅雨の時期は雨の合間を縫って、長い時には1時間くらい走っています。終わったあとに爽快感があるんです。
昔はカミさんとデートで走ったりしました。
石丸:それは粋ですね。
松之丞:うちのカミさんもスポーツが好きなんです。
皇居の近くにランニングする人専門のお風呂屋さんがあって、そこに着替えを置いて鍵だけを持った状態で走るんですが、走り終わってそのままお風呂に入るのも気持ちいいんですよ。
冬の時期ならその後に鍋を食べに行ったり、さらに贅沢するとマッサージに行ったり……。本当にそれが至福でした。
石丸:良いですね。
松之丞:当時は結婚する前だったので、今度一緒に住むにあたってどこに住もうかとか話をしながら走っていました。
走ってるときはネガティブな話題はしないですね。自然と身体の機嫌が良くなってくるので、自分自身もネガティブからポジティブに変わってきます。
走った後に風呂に入ったりすることで精神も肉体もリラックス出来るというのがランニングだなと感じます。
石丸:リラックスのためのランニングなんですね。走り慣れてない人は走ることが苦しいと感じてしまいますが、それを越えているんですね。
松之丞:もちろん、走っていて多少苦しいときもあるんですけど、その後のことを想像すると、その快楽たるや、やはり凄いですね。
本当にみんなにお勧めできることですし、楽しいです。
カミさんはスポーツが得意とは言いつつも女性なので、ちょっと走るのが遅かったりします。
その時にこちらがスピードを合わせたりすると、より絆も深まります。
石丸:一緒に走るというのはすごく素敵なことですね。
松之丞:そうですね。僕は無宗教なんですけど、新婚旅行でスペイン行ったときに(キリスト教の聖地を目指して歩く「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」)1日30km近く歩いたことがあります。
全部歩くと800km以上あるので、200km地点くらいから歩いたんですけど、最後は膝を壊しまして、それは大ゲンカになりましたね(笑)。
最後はタクシーで行きましたけど、そういうのも全部良い思い出です。