石丸:池井戸さん、今週も宜しくお願いします。
ここでは、人生で大切にしている“もの”、“こと”についてお伺いしてまいりますが、今週はどんなお話をお聞かせいただけますか?
池井戸:今日は「クルマ」についてです。
石丸:いいですねぇ、クルマ、お好きなんですよね?
池井戸:そうです、好きですね。
石丸:今、どういうクルマをお持ちなんですか?
池井戸:ちょっとこだわっているというか、ついつい買ってしまったのが、クラッシック・アルファロメオ。
石丸:何年ぐらいのものですか?
池井戸:1970年前後ですね。2台持っていて、1つはクーペのタイプで、もう1つはスパイダーです。
石丸:写真を拝見しましたが、現在のと、全然形が違いますよね。
池井戸:違いますね。
石丸:どうしてこの2台だったんですか?
池井戸:形から入っちゃいましたね。1970年前後の一流のデザイナーのボディラインが素晴らしいんですよ。
石丸:美術品みたいだ。
池井戸:でもね、運転はしんどいんです。エアコン付いてない、パワステ付いてない、ラジオ付いてない(笑)。
石丸:“ないない”ですね(笑)。
池井戸:ちょうど真夏に買ったんですけど、乗りたいじゃないですか? 窓を全開にしても、汗だくですよ(笑)。それに、高速道路でもスピードが出ないので、抜いていく人たちが、気の毒そうにというか、“バカじゃないの?”っていう感じで(笑)。
石丸:つまり、池井戸さんは、移動手段というより趣味でクルマを持っているという。
池井戸:動かすのが面倒なクルマですよね。
石丸:では、どういう時に動かすんですか?
池井戸:朝からずっと仕事をして、午後になって“くたびれたな”と思うと、首都高の渋滞マップを確かめて。渋滞していないと分かると、出撃するわけです。
石丸:もっぱら、気分転換ということですか。
池井戸:そうですね。首都高を一周して60キロぐらい、1時間ちょっとくらいかかって周ってきて。
石丸:目的地を定めずに、ということですね。
池井戸:目的も、何の生産性もない行動をするわけです。
石丸:わかります、私もそれ派ですから(笑)。
ただ乗っているのがいいんですよね。
池井戸:そうですね、乗っているのがいいんですよね。