●心躍る瞬間「デュエットする時」
松下:今月お迎えするゲストは、シンガーソングライターの平原綾香さんです。よろしくお願い致します。
平原:よろしくお願いします。
松下:この番組では、ゲストの方々に“心躍る瞬間”についてお伺いしています。
早速ですが、平原さんの“心躍る瞬間”は、どんな時でしょうか?
平原:「デュエットする時」です。
松下:それでは時計の針を、その瞬間に戻していきましょう。
「デュエットする時」というのは?
平原:松下さんもたくさんの方とコラボなさっているから、そう思いませんか?
松下:“歌と歌のデュエット”と、“ピアノと歌”とか、“ピアノとまた他の楽器のデュエット”とでは何か違うのかな?と思って、今日は答えを楽しみにしていたんですけれども。
“声と声との共鳴”とか、そういう瞬間は、やっぱり“うわぁ!”と思うことが多いです。
平原:“うわぁ!”と思う時と、“うわぁ…”と思う時と、色々あって。
松下:(笑)。
平原:デュエットで、その人の性格って分かりませんか?
松下:呼吸と言うか、間合いの取り方とか、“あ、こういう風に入ってくるんだ”とか…。
平原:“うわぁ、この人頑固だな”とか、あったりするんですけれども(笑)。
松下:そこまで見抜いていますか(笑)。
平原:私もきっと全部見透かされているんだろうなと。だから、デュエットをするといつも、“自分を磨かなきゃな”と思います。
松下:お1人で歌うのと、お2人で歌うのとでは、やっぱり違いますか?
平原:もちろん違います。(デュエットは)“人との出会い”みたいなものだから…出会うだけじゃなくて、一緒に何かを作り上げる瞬間って、何か特別な瞬間に感じるんです。
それが、例え“今回は失敗しちゃったな”という時であっても、私にとっては“心躍る瞬間”と言うか、どんな結果であっても“良かった”と思えるような気がします。
松下:“予期しなかった出会い”みたいな。予測がつかなかったりすると、なおのこと心躍りますよね。
平原:踊りますね。例えば、玉置浩二さんとデュエットさせてもらった時に、私は幼い頃からずっと、父の影響もあって玉置さんの声を聴いていましたけれども、玉置さんはドラマーでもありますから、ビートの出し方とか…あとは井上陽水さんのコーラスもなさっていた方なので、すごく合わせるのが上手なんです。メインの方なのに、瞬時に裏方に回れる素晴らしさ、というものも感じたりしますね。
松下:表にわっ!と出るパワーと、引くパワーというのも、デュエットにはやっぱり必要なんですね。
平原:そうやって心を通わせて会話ができる“人”とのデュエットもあれば、この間は、ボーカロイド…バーチャルアイドルの洛天依(ルォ・テンイ)ちゃんという子とデュエットをしたんです。
松下:中国No.1バーチャルシンガー・洛天依(ルォ・テンイ)さん。
平原:私も中国語にチャレンジしました。
松下:この曲(「MOSHIMO(如果说)」)自体は、中国語の曲なんですか?
平原:元々は、私が作詞作曲をして、ミャンマーのドラマのために書き下ろした曲なんです。その時は、森崎ウィンくんと一緒にミャンマー語と日本語でコラボしていたんですが、今回は中国語バージョンにチャレンジしました。でもやっぱり、バーチャルアイドルだから、キーとかも、音域が広いじゃないですか。
松下:そうですよね。もしかしたら、人間には出せないものを持っているかもしれない(笑)。
平原:そうなんです。だから色々(自分に)合わせてくれるのかなと思ったら、「洛天依ちゃんはここからここまでなので」と言われたので、結局私が合わせたんです(笑)。
松下:合わせてくれないんですね(笑)。
平原:そうなんです(笑)。他の現場でデュエットする時は、テレビ局の方がいつもお互いの希望キーを聞いてくださるんですが、先輩とデュエットする時はいつも「私、何でも付いていきます。頑張りますから」と言っています。
松下:なるほど。じゃあ、この洛天依ちゃんに合わせて。
平原:彼女の良さと私の持っているものを融合させてデュエットすることができました。
松下:ある意味、思い出のデュエットになったわけですね。
平原:はい。
●クロニクル・プレイリスト 「For Good / ミュージカル『ウィキッド』より」
松下:この番組では、今日お話しした“心躍る瞬間”にまつわる思い出深い曲やその時代の印象深い1曲を“音楽の年代記”=「クロニクル・プレイリスト」としてお届けしています。平原さんが選んだのは、どんな曲でしょうか。
平原:ミュージカル『ウィキッド』より、「For Good」。
これは、元々は女性同士のデュエットですが、男性2人で歌っても良いですし、性別関係なく繋がりを感じる歌です。
この曲を選んだ理由としては、私は「平原綾香 Jupiter 基金」というコンサートをさせていただいているんですけれども、ゲストの方とこの曲を歌わせていただくことが多くて、一緒に歌うと泣いちゃうんです。
劇団四季バージョンの邦題だと「あなたを忘れない」というタイトルが付いていますけれども、日本語詞もまた良くて、“涙は流れるけれど癒される”という、すごくパワーのある曲だと思って、選んでみました。
●チャリティーコンサート「第8回 平原綾香 Jupiter 基金 My Best Friends Concert〜顔晴れ[がんばれ]こどもたち〜with Orchestra」
松下:さて、ここからは、平原さんが2015年から開催しているチャリティーコンサート「第8回 平原綾香 Jupiter 基金 My Best Friends Concert〜顔晴れ[がんばれ]こどもたち〜with Orchestra」についてお伺いします。
このチャリティーコンサートは今年で8回目を迎えるそうですが、こちらのコンサートの開催というのは、どんなきっかけがあったんでしょうか?
平原:昔から、チャリティーコンサートに呼んでいただいて参加するということはあったんです。自分で基金を立ち上げて自分発信でチャリティーコンサートを行うというのは大変なことでもありますし、勇気のいることでもあるんですが、でも“何か役に立てたらいいな”という思いがずっとあったんですね。
それで、東日本大震災の瞬間に、ちょうど、ここTOKYO FMにいたんです。
松下:本当ですか!
平原:収録していたら揺れが来て、本当に怖かったんですね。その時に、“ああ、もうこれは、動き出さなきゃ”と思って。それがきっかけでもあったんですかね。
私のデビューした少し後ぐらいに新潟県中越地震が起こってしまったんですが、私の歌を避難所で聴いてくださる方が多くいたということを現地の方から聞いたんですね。その時、“私が歌う意味って何だろう?”とか、“私の歌を聴いてくれる人っているのかな?”と不安になっていた中で、初めてちゃんと自分が歌う意味を教えてくれた人たちが、(震災で)傷ついた人たちだったんです。
(そういうこともあって)2015年にやっと立ち上げることが出来て、たくさんの人たちの協力のお陰で、ほぼ毎年(チャリティーコンサートを)開かせていただいています。
松下:そして、今回開催となる8回目は、オーケストラの皆さんとご一緒されるそうですけれども。
平原:はい。「ジュピコン(「平原綾香 Jupiter 基金 My Best Friends Concert」のこと)」初のオーケストラで、私の母校の洗足学園の方々に協力していただいて。
松下:8回目で、ご自身の育ってこられた中で、改めて音楽と向き合えるって、素敵ですね。
今から、“どういうことをやってみたい”とか、“こういう風にしようかな”ということはありますか?
平原:もう、いっぱいありますね。生楽器の良さを今一度再確認するのに一番分かりやすいのは、私はオーケストラだと思っていて。絶対に素晴らしいものになると思いますので、ぜひ楽しみにしていてほしいです。
『サウンド・オブ・ミュージック』という映画がありますが、そのメドレーをやろうと思っています。以前、ちょっと違うところでやったんですけれども、大変人気があって!
私は、『サウンド・オブ・ミュージック』の50周年記念の(DVD &ブルーレイの)マリア先生の声と歌を(吹き替え)させていただいたんです。色んな方たちが声を充てている中で、50周年記念版を担当させていただいたというご縁もありますし、『サウンド・オブ・ミュージック』は良い曲がたくさんあるので、それを生で聴くというのも、良い思い出になると思います。
松下:“声とオーケストラ”で素敵ですね。
平原:そうですね。生で聴いていただきたいです。
また、能登半島地震で被災された方々を支援されている団体はたくさんあるんですけれども、今回8回目は、認定NPO法人の「ジャパンハート」さんを通じて(被災地に)寄付させていただこうと思っています。
今、避難者が2.6万人とも言われているんですね。(「ジャパンハート」は)その避難所で、診療所運営と遠隔地への巡回診療というのもなさっている。ですから、その被災地医療支援を行うための支援金として寄付させていただく、ということが決まっております。“寄付したいけれど、どこに寄付すれば良いか分からない”という方も、まだチケットはありますので、来ていただけたら嬉しいです。
松下:そうですね。是非、素敵な1日になるようにお祈りしております。
平原:はい!
松下:「第8回 平原綾香 Jupiter 基金 My Best Friends Concert〜顔晴れ[がんばれ]こどもたち〜with Orchestra」は3月20日、春分の日、東京国際フォーラム ホールCにて開催されます。詳しい情報は、平原綾香さんの
オフィシャルサイト をご覧ください。
<松下さん衣装>
ブラウス:TIARA / ティアラ
スカート:Liesse / リエス
共に、03-3464-3310
イヤリング:STAR JEWELRY / スタージュエリー 03-5537-8088
スタイリスト:大沼こずえ
ヘアメイク:山科美佳
ゲストが語る“心躍る瞬間”や“エピソード” その時に刻まれた思い出の1曲。 または、その時代の印象的な楽曲。
『For Good』 ミュージカル『ウィキッド』より