⚫心躍る瞬間「ウィンブルドンのセンターコート」
松下:今月お迎えしているゲストの方は、俳優の石黒賢さんです。よろしくお願いいたします。
石黒:よろしくお願いします。
松下:本当にお久しぶりです。
石黒:久しぶりですね。
松下:石黒さんとご一緒させていただいたのは、2007年の映画『未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~』。そして一番最近だと2019年のWOWOWドラマの『引き抜き屋 ~ヘッドハンターの流儀~』ということで。
石黒:4年も前ですか!
松下:そうなんです!石黒さんには、これから5週にわたって、“心躍る瞬間”を伺っていきます。
早速ですが、石黒さんの“心躍る瞬間”はどんな時でしょうか?
石黒:僕が心躍った瞬間は、「ウィンブルドンのセンターコート」です。
松下:それでは時計の針を石黒さんが心躍った「ウィンブルドンのセンターコート」の瞬間に戻していきましょう。
これはいつ頃のことですか?
石黒:父(故・石黒修氏)がテニスの選手だったということもあり、子供の頃からテニスをやっていたんです。テニスをやる人間にとって、ウィンブルドンのセンターコートというのは、頂点の頂点、ヒエラルキーのトップにあるわけで。もちろんプレーヤーとしてあそこに立つという夢はかないませんでしたけれども、WOWOWさんが、2008年から(ウィンブルドン選手権の)中継をやるということで、オファーをいただきまして。
松下:スペシャルナビゲーターを務めていらっしゃいますよね。
石黒:オファーをいただく前の2007年に、父と「来年はウィンブルドンを観に行こう」と話をしていたんです。
というのは、ウィンブルドンのセンターコートは、それまで屋根が無くてオープンエアでやっていたんですね。ところが、2009年からは屋根が付くと。だから「オープンエアのウィンブルドンは2008年が最後だね」ということで、父も何度か(ウィンブルドン選手権に)出場したということもあり、「じゃあ、親父と2人で行きますか」という話をしていたところにそんなお話をいただいて、“ああ、これは何かに導かれたのかな”と感じましたね。それで、(ウィンブルドンへ)行ったんです。
試合は月曜日から始まるんですけれども、その前の土、日はメディアデーで我々に解放してくれるので、ウィンブルドンのセンターコートに入ったんです。そこにはガードの人たちが何人もいるんですが、“それ以上入らないように”みたいな(笑)。「ちょっとだけ」と言って、ちょっと芝を触ったり、硬さを確かめたりしました。
松下:実際に行かれてみて、どの瞬間に一番“心躍った”と感じられましたか?
石黒:やっぱり初めて入った時ですね。(芝を)触って、“ああ、思っていたよりこんなに硬いんだ”とか。
松下:硬いんですね。
石黒:ご存知の方も多いと思いますが、センターコートはあの大会の2週間だけしか開かないんです。最初のオープニングマッチは、前年度の男子シングルスのチャンピオンが入るんです。第1シードとかランキングとか関係ないんですよ。そういうところが実にイギリス的な感じがして、僕はそれが嫌いじゃないんですけれどね。
松下:行かなければ感じられない芝の硬さや厳かな感じというものがあるんですね。
石黒:そうですね。やっぱりみんながあそこでやりたい…どんなテニス選手に聞いても、「ウィンブルドンのセンターコートで勝ちたいです」と、誰もがおしなべて言うという、その想いが詰まっているんじゃないでしょうか。
⚫クロニクル・プレイリスト「Chariots Of Fire / Vangelis」
松下:この番組では、今日お話ししました“心躍る瞬間”にまつわる思い出深い曲やその時代の印象深い1曲を“音楽の年代記”=「クロニクル・プレイリスト」としてお届けしています。石黒さん、それは一体何でしょうか。
石黒:映画『炎のランナー』のタイトル曲で、ヴァンゲリス(Vangelis)の「炎のランナー(Chariots Of Fire)」です。
松下:おお! なぜ今日はこの曲を選んでくださったんですか?
石黒:今日はウィンブルドンの話をさせていただいたので、イギリス繋がりということで。(『炎のランナー』は)イギリスのランナーの話なんですが、僕が高校2年生くらいの時に観た映画で、実にイギリス的な衣装や美術とかも良くて印象に残っていたので、これを選びました。
松下:イントロを聴くとゾクゾクしますね。
石黒:ご存知ですよね。
松下:本当に、いつ聴いても奮い立たされる感じ。
石黒:映画の音楽ってこういうことだよね。
松下:聴く瞬間、瞬間で(感じるものが)違いますしね。
“戦いに行くぞ!”みたいな、戦闘モードになりそうな1曲でした。
⚫DMM TVオリジナルドラマ『EVOL(イーヴォー)~しょぼ能力で、正義を滅ぼせ。~』
松下:ここからは、現在配信中の、石黒さんご出演のDMM TVオリジナルドラマ『EVOL(イーヴォー)~しょぼ能力で、正義を滅ぼせ。~』について伺っていきます。
DMM TVオリジナルドラマ『EVOL(イーヴォー)~しょぼ能力で、正義を滅ぼせ。~』は、月刊コミックビームに連載中のカネコアツシさんによる漫画が原作。正義の味方しか持ち得ないプチ超能力を得た3人の少年少女が、この世界を壊すために邪悪なワルモノへと進む物語です。
さあ、石黒さんは一体どんな役なんでしょう。今の説明だけでも、いろんな世界観が広がっているなという印象なんですけれども。
石黒:この、3人の子供達、というか高校生くらいなんですけれども、私はそのうちの1人の女の子の父親で、町の警察署長で、“悪を絶対に許さない!” “権威”みたいな人なんです。その裏側には、実は家庭的には…という、非常にダークな(役柄)。
松下:邪悪なワルモノへと進んでいく娘さんを持ちながらも警察署長であるという複雑な役柄だと思いますが、演じてみていかがでしたか。
石黒:奈緒ちゃんもそうだと思いますけど、“原作モノ”というのはなかなか難しくて。撮影前に原作を読んだ方が良いのか、読まない方が良いのか。見た目も含めて原作に寄せていった方が良いのか、別のものという風にしたら良いのか。原作者の方のお考えもあるし。
ということで、今回はこういう話だったので、“どうしようかな”と思って…基本的なスタイルとしては、演じる前には(原作を)あえて読まないんですが、非日常な役だし、どれくらいカリカチュアした人物にした方が良いのかを(山岸聖太)監督と話し合いながら演じたんです。やり過ぎてもいけないけれど、こんな話だからちょっとぶっ飛んだ感じでやりたいし。そのようなバランスを取りながら上手いことやっていった感じで、非常に面白かったです。
松下:石黒さんが原作を読まないというのは、(自分の中で)決められているんですか?
石黒:プロデューサーサイドから「前もって読んでおいてください」と言われない限りは読まないようにしていますね。
松下:それは、あえて監督から求められているものに染まりたい、委ねてみたい、という?
石黒:だって、これは(原作とは)別物ですからね。
松下:そうなんですよね。確かにリアリティというよりも、その先にあるものが、こういった作品の面白さだと思います。「漫画から飛び出してきた」みたいな方が良いのかなと思うんですよね。
石黒:それは、見た目の衣装も。基本的に日本の警察官の制服は濃紺ですが、それを真っ黒で作ってくれて。黒というだけですごく高圧的な感じが出るわけですよね。そうやって衣装とかヘアメイクとかに助けられて、だんだん役を作っていく。それが手助けになって面白かったですね。
あとは、全シーンにCG班が来ていたの。
松下:え!
石黒:全シーンだよ。少なくとも僕が関わっているシーンは。
松下:すごいですね。
石黒:そんなこと、あんまりないでしょ?
松下:ないです。
石黒:だからね、こっちは(完成の画が)全然イメージがつかなかった。
松下:やっぱり平面で見ている漫画から飛び出してきちゃうんですね。
石黒:ブワーッと出てくる。いろんな炎が出てきたり、いろんな事があるわけですよ。
松下:うわぁ。
石黒:本当にスペクタクル。面白かった。
松下:撮影に相当時間がかかりますよね?
石黒:美術も素晴らしかった。セットもすごい! 邪悪な部屋なの(笑)。
松下:(笑)。DMM TVオリジナルドラマ『EVOL(イーヴォー)~しょぼ能力で、正義を滅ぼせ。~』は現在配信中です。ぜひご覧ください。
<松下さん衣装>
ブラウス:DOUBLE STANDARD CLOTHING / ダブルスタンダードクロージング
スカート:Sov. / ソブ
共に、03-5413-4141
イヤリング:BLOOM / ブルーム 0120-528-228
スタイリスト:大沼こずえ
ヘアメイク:山科美佳
- ゲストが語る“心躍る瞬間”や“エピソード”
その時に刻まれた思い出の1曲。
または、その時代の印象的な楽曲。
- 『Chariots Of Fire』 Vangelis