松下:今月お迎えするゲストは、俳優の玉山鉄二さんです。よろしくお願いいたします。
玉山:よろしくお願いします。
松下:「お久しぶり」で良いですか?
玉山:そうですね。2、3か月ぶりくらいですかね。
松下:今年の夏に、『CODE-願いの代償-』(読売テレビ)というドラマでご一緒させていただきましたけれど。
玉山:絡みが少なかったから。
松下:そうなんです。一緒になるシーンが少ない中ですごく覚えているのが、1日ずっと車の中のシーンがあったじゃないですか。
玉山:ありましたね。
松下:その時の待ち時間に色々お話してくださったのが、すごく楽しかったです。
玉山:本当ですか! 子供の話とか、楽器の話とか。
松下:今月は、そんな玉山さんの色々なお話をうかがっていきたいなと思っています。
⚫心躍る瞬間「中学校の時の遠足のバス」
これから4週にわたって、玉山さんの“心躍る瞬間”をうかがっていきます。それはどんな時でしょうか。
玉山:「中学校の時の遠足のバス」です。
松下:かなり具体的な心躍る瞬間ですけれども、それでは、時計の針を玉山さんの中学時代に戻していきましょう。中学時代のバスの中が、なぜ心に刻まれているのでしょうか。
玉山:中学生の時の(遠足の)バスの車中なんですけれど、カラオケをする時間があったんです。僕は女子にモテたいものだから、そのカラオケに向けて、前もってすごく練習をしていたんですよ。ここぞとばかりに(笑)。
松下:かわいい。
玉山:何日も前から練習をしていて、いざ当日が来て、ドキドキしながら自分の番が来て、自分が歌う曲を入れたカセットテープをバスの人に渡して。でも、練習し過ぎたんでしょうね、(曲が)かかった時に、テープがちょっと伸びていて。
松下:テープが伸びるって(笑)。
玉山:伸びていると、ピッチもそうだし、キーも若干下がるじゃないですか。いざ歌ったら全然キーが合っていなくて。“練習してたのとちょっと違うぞ”と思うと、だんだん心臓がドキドキしてきて。“オレ、もっと上手いのに!”って思うのに、上手く歌えなくて…というのが思い出です。
松下:ちょっとほろ苦いですね。
玉山:そうですね。“心が躍った”というか、“心が揺れた”というか。“動揺した”みたいな。
松下:動機が「モテたいから」というのが…中学生とかそれくらいの年代って、そういうかわいいことを考えますよね。でも相当、練習をされたんですよね。
玉山:相当しましたよ、ビブラートとか。しかも中学生くらいの時って、歌が上手いと(人気者の)ステージが1個、2個くらい上がるじゃないですか。
松下:みんな「おー!」って言ってくれますしね。
玉山:カラオケにも誘ってもらえたりとか。そういう浮ついた心があったんでしょうね。
松下:結果どうなったんですか?
玉山:結果、何か消化不良で終わって、その後に遠足で行った動物園とかもテンションがダダ下がりで。
松下:スタートからつまづいちゃったから(笑)。
玉山:うわの空でしたね。
松下:良いことよりも、そういう、ちょっと恥ずかしかったり、ちょっと苦い思い出の方が覚えていますよね。
玉山:そうですね。だから僕は、今回、クロニクル・プレイリストで紹介する曲が流れるたびに、そのことばかり思い出すんですよ。
松下:今回、クロニクル・プレイリストに選んでくださった曲は、どちらかというとハッピーな思い出なのかなと思っていたんですけれども、実はちょっとほろ苦い思い出のものなんですね。
⚫クロニクル・プレイリスト「Tomorrow never knows / Mr.Children」
松下:この番組では、今日お話しした“心躍る瞬間”にまつわる思い出深い曲やその時代の印象深い1曲を“音楽の年代記”=「クロニクル・プレイリスト」としてお届けしています。玉山さんが、遠足のバスで歌おうと一生懸命練習された曲ですよね。
玉山:そうですね。
松下:それは一体何という曲でしょうか。
玉山:Mr.Childrenの「Tomorrow never knows」。
松下:すごい。これを練習されていたんですね。確かにテープが伸びるとちょっと辛い曲ですね。
玉山:そうですね。前半の入り(の歌詞)が「とどまる事を知らない」と。もう、とどまってなかったですよね、全然。
松下:何かイントロを聴いただけで、私は居なかったのに、バスはこんな感じだったのかなって、想像出来ちゃいますね(笑)。
玉山:僕もまた思い出しちゃいました(笑)。
⚫「次元大介を演じる」ということ
松下:さて、ここからは、現在世界独占配信中のAmazon Original映画『次元大介』について伺っていきます。
映画『次元大介』は、モンキー・パンチ原作『ルパン三世』の人気キャラクター、早打ち0.3秒の天才ガンマン・次元大介が主役の実写映画です。玉山鉄二さんはその次元大介を演じていらっしゃいます。拝見させていただきましたけれど、すごく格好良いですね。
玉山:本当ですか。
松下:アニメの中の次元大介って、多くを語らないじゃないですか。
玉山:そうですね。
松下:語らない中で、“次元大介ってこういう風に笑うんだ”とか“こういう風に人と距離を取るんだ”とか、見えなかった部分がすごくクリアになって。“最後はみんな次元大介のことが好きになっているんじゃないかな”と思うような人間味と血の通った感じが、すごく魅力的に描かれていました。
“次元大介は今後どうなっていくのかな”と、その人の人生を知りたいと思えるような作品だなと思ったんです。
玉山:ありがたいです。
松下:そんな中で、次元大介を演じられてみて、いかがでしたか。
玉山:次元大介って、あらゆる男性がみんな“格好良い”と憧れるような一面を持っていて。僕も“なぜ格好良いのか”と、色々追求したんです。やっぱり無駄がないし、余計なものがないんですよね。
松下:そうですね。余計なことを言わないし。
玉山:男の子って“格好良くなりたい”と思ったら、自分に何かくっつける作業をしていくじゃないですか。“こういうものを着たら格好良いのかな”とか“こういう風にふるまったら格好良いのかな”って。そうではなくて、その逆というか、引き算の美学というか、1本芯があってシンプルがゆえに格好良いという、揺るがないものがあるのかな、なんて思っていましたね。
松下:確かに。色々取り入れることは簡単ですけれど、シンプルに考えること、削ぐことの方が難しいですよね。
玉山:そうなんですよ。だから、取り入れがちじゃないですか、人って。
松下:でも、大人になっていくにつれて分かっていくところですよね。そんな渋さがすごく(玉山さん演じる次元大介に)あったなと思うんですけれども。
玉山さんは2014年に実写映画『ルパン三世』の中でも次元大介を演じられて、それから9年(経っている)じゃないですか。同じ役を俳優人生の中で演じるということは、なかなかないと思うんですよね。
玉山:そうですね。9年経つと劣化もするし。
松下:そんなことないですよ(笑)。
玉山:いやいや。だからある意味貴重な経験でもあるし、あとは、9年経って、自分の大人の魅力というか、そういう部分が新たに出ているところもあるかもしれないし。
松下:9年前に思っていた自分の中の次元大介像と、9年経って考える今の次元大介像は変わってきましたか。
玉山:当時は「次元大介だからこうしないと、ああしないと」ということにとらわれ過ぎていて。 “くっつける”作業ばかり考えていましたね。
松下:なるほど。今回は、極限までシンプルに。
玉山:無駄を省くという。
松下:見た目もアニメのまま。
玉山:そのために髪の毛も伸ばして、髭も伸ばして。
松下:どんなアクションがあっても帽子を絶対に離さないという。
玉山:あれは大変だったんですよ。
松下:アクションシーンも結構あったじゃないですか。どうでした?
玉山:めっちゃ大変でした(笑)。しかも、1対100とか200位を倒していたので、ちょっと“ランボー”みたいな(笑)。
松下:確かに(笑)。そのアクションシーンも見どころなんですけれど、次元大介の一番の難しさというのは、どこにありました?
玉山:やっぱり、やり過ぎないこと、抑える作業じゃないですか。どうしても役者である以上、演じないと仕事をした気にならないというか。
松下:求められますしね。
玉山:それを監督さんも上手く抑えてくださって。
松下:この次元大介に対する熱量が、玉山さんもそうですが、現場の皆さんもすごく(次元大介のことを)愛してらっしゃるんだなということを感じられる作品だと思いました。
最後に、改めて見どころをお願いいたします。
玉山:『ルパン三世』のルパンと石川五ェ門が居ない時の次元大介が、どういう生活を送っていて、どういう人との接し方をしていて、どういう敵と対峙してどう戦っていくか、というところが覗ける作品になっていると思います。
松下:Amazon Original 映画『次元大介』は、現在Prime Videoにて世界独占配信中です。ぜひご覧ください。
<松下さん衣装>
ブラウス:スタイリスト私物
スカート:GRACE CONTINENTAL / グレースコンチネンタル 03-5456-0209
イヤリング:ete / エテ 0120-10-6616
スタイリスト:大沼こずえ
ヘアメイク:山科美佳
- ゲストが語る“心躍る瞬間”や“エピソード”
その時に刻まれた思い出の1曲。
または、その時代の印象的な楽曲。
- 『Tomorrow never knows』 Mr.Children