芥川賞を受賞した女性作家が集まった対談で、小川さんをはじめ数人から「影響を受けた作品」として名前があがったという『鍋の中』。おばあさんと孫たちの一夏の思い出を綴った物語と思って読みだすと、なんとも掴みどころのない展開に当惑させられっぱなしです。小川さんいわく、何気ない日常を描いているのに、それが特別な文学になっているのがこの作品の凄いところなのだそう。おばあさんの背中の皮をひっぱると立派な富士山ができそう・・・と主人公が妄想するシーンなどは、「確かに!」と共感するものの、こんなことなかなか思いつきませんよね。優れた作家はやはり人とは違う特別な「目」で世界を見ています。
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