上・中・下、あわせると1000ページにも及ぶ大作となっている「細雪」。作者の谷崎もこの執筆には精も根も尽き果てたようで、『長かったから何と云っても肉体的には疲れた。最後の方になって殊に疲れを感じたように思う』という言葉を残しています。これは単純に“書く”という作業に疲労を感じただけではなく、戦時中の執筆であったため、原稿を持って戦火を逃れなければならなかった、ということにも疲れたようです。ちなみに小川さんも、万が一何かあってはいけないと、原稿は全て耐火金庫に保管しているそう。作家の作品に対する想いの深さを感じる、2つのエピソードでした。
(アシスタント:藤丸由華)
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