わずか数ページの物語の中、主人公の下人のめまぐるしく変わる心模様が描かれている作品。最初は『芥川は「正義と悪は紙一重」的なことを表現したくて、この物語を書いたのかな』との感想を持ちました。が、『「今昔物語集」という平安時代の物語をベースにしているのがこの「羅生門」。1000年前でも、人の感情や行動というのは、現代に生きる私たちとあまり変わらないんですね。昔の人もこうだったんだ、私たちもこれでいいんだ、という安心を見つけるために、人は「羅生門」を手に取るのではないでしょうか』。そんな小川さんの解説で、一気にこの作品の目指すところが見えたような気がしました。(アシスタント:藤丸由華) |