2023年3月19日

川端康成
『禽獣』
(新潮文庫・『伊豆の踊子』)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

15年9ヶ月続いた「メロディアス・ライブラリー」の中で、一番多く登場したのが川端康成。2008年4月に取り上げた『片腕』にはじまり、『雪国』『伊豆の踊子』『古都』『眠れる美女』『みずうみ』『山の音』『掌の小説』と味わってきました。そして最後に選んだのが『禽獣』。その意味は「鳥とけもの」、そして比喩として「道理をわきまえない人の例え」ともあります。この題名どおり主人公は犬と鳥を飼っている人物。そして犬も鳥も、そして女性も、自分の思い通りにならないと嫌だという男。川端の特性がギュッと詰まった、この番組のしめくくりにもぴったり(?)の小川洋子さんおすすめの作品です。

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